スマホでちょっと良い映像を撮りたい、と感じたときに考える選択肢として浮かぶのがスマホジンバルではないでしょうか。
手ブレを抑えてきれいな映像が撮れたらVlog撮影も捗りそうですよね。
そんなスマホジンバルですが、現在手ブレ補正だけではなくトラッキング精度も上がっていて被写体を追う力が向上し、さらには本体に様々な仕様が追加され使いやすく進化してきています。
それが今回紹介する「Hohem iSteady V3 Ultra」。
グリップ部分に着脱可能&ディスプレイ付きのリモコンを搭載し、AIカメラによるトラッキング精度の高い撮影ができる最新スマホジンバルが発売されました。
今回はHohem iSteady V3 Ultraを実際に使ってみて感じたよかったポイントや気になったポイントについてまとめていきます。
提供:Hohem
iSteady V3 Ultraの特徴
- 1.2インチタッチパネル搭載の脱着式リモコン
- 200万画素AIカメラで高精度トラッキング
- 360度のパン回転
- 内蔵の延長ロッド & 三脚
- hohem 9.0の3軸手ぶれ補正
- 撮影体験を向上させる専用アプリ
- 価格25,990円(Amazon)
一見普通のスマホジンバルですが、大きな魅力は脱着可能なディスプレイ付きリモコンと、AIカメラを搭載しているというところ。
ディスプレイ付きリモコンではジンバルの角度や細かな設定を操作でき、アプリ不要で内部の調整をすることもでき、遠隔操作にも使えます。
AIカメラについてはアプリでのトラッキングではなくジンバル本体の性能によってトラッキングをすることで、より高精度な追従ができるように。
これによって自分をひたすら追ってもらいワンオペ撮影だとしても正確な映像を撮ることも、走り回る子どもを正確に撮影することもこのジンバルだけでできてしまいます。
さらにこのAIカメラはトラッキングだけではなくて撮影している映像もプレビューできます。
そのため、実際のスマホの映像とはいえ、おおまかな画角チェックにはかなり役に立つ機能です。
もちろん普通にこれまでのスマホジンバルのようにブレの少ない滑らかな動きの撮影をすることもできますし、本体内蔵の延長ロッドや三脚を使って様々な環境に合わせて撮影もできます。
基本操作から正確なトラッキングまで可能というところで、隙のない高性能なスマホジンバルといえるでしょう。
旧型との違い
旧型としてiSteady V3というモデルがあります。

大きな違いとしてはパントラッキングが330度までだったところ、360度の回転にまで対応したというところ。
旧モデルの場合は360度には対応していなかったので、1周弱のところで首振りが止まってしまいました。
そのため、グルグルと被写体が回転するような撮影には対応ができないという実態も。
しかし、最新モデルでは360度の回転に対応したので、自分が動き回っても子どもが縦横無尽に走り回っても、しっかり追える性能になりました。
また、被写体の追従に関してこれまで専用アプリ使用でのみ対応という仕様でしたが、新型からはどのアプリでも対応とのこと。
iPhoneで試してみましたが、純正カメラでも問題なく操作ができたので、使い慣れたカメラアプリで追従や手ブレ補正などの操作ができるのはありがたいですね。
iSteady V3 Ultraのデザイン
カラーはブラックとホワイトの2色展開。

今回僕はブラックを使用中。
色味としてはやや明るめといった感じで、重たさを感じる黒ではありません。
折りたたんだときのサイズとしては手の平くらいのサイズで、かなりコンパクトにまとまります。

ポケットに入るほどとは思いませんが、これくらいならポーチなどに入れて持ち運びも便利に行えるでしょう。
正面にはディスプレイ付きのリモコンがあり、これは脱着可能となっています。

グリップ部分右側には電源ボタンとUSB-Cの充電ポート、左側にはダイヤルが搭載。


開くとスマホが取り付けられるようになっています。
Insta360は開くと勝手に電源が入るのですが、iSteady V3Ultraは電源ボタンを自分で押すまでは電源は入りません。
上部のホルダーに関しては伸縮するので様々な大きさのスマホを挟み込めます。
そしてホルダーにはAIカメラが装着されています。

これも脱着可能で、側面のオレンジ色のボタンを押しながら引くと取り外しが可能。
これによって、内カメ・外カメのような使い方ができます。
撮影性能
ここからは実際に映像を撮影してみたので、それをもとに性能を確認していきましょう。
使用スマホはiPhone 13 miniです。
以下ざっくり性能の説明です。
手持ち撮影の場合には以下のようなモードがあり、それぞれ適した撮影方法があります。
- PF(パンフォロー):パン方向(左右)は追従、チルト方向(縦)はロック
- 上下振り下ろすような撮影のときに使える
- PTF(パンチルトフォローモード):パン方向・チルト方向ともに追従
- カーブがあるような動きの撮影のときになめらかに撮影できる
- POV(オールフォローモード):パンチルトロールすべての状態で追従する
- ジンバルがぐにゃぐにゃとした動きに。クセのある映像になる
- LOCK:どの方向にも動かず、スマホが一定の場所に固定される
- とにかくまっすぐ歩くときなどに使える→ブレ防止ならこれ?
この撮影モードに加えて、AIカメラのトラッキングを使えます。
これによって手持ち撮影のときはもちろん、置いて使う場合にも正確に被写体を追い続けてくれるので、自分は撮影自体に集中できるでしょう。
また、リモコンで撮影の調整をすることも可能で、ジンバルの角度や向き、撮影開始終了などを操作ができます。
これらの操作は本体に接続しているときだけではなく、遠隔でも操作が可能です。
今から手ブレ補正の効きとAIカメラのトラッキングの性能を確認していきます。
手ブレ補正については歩いてVlogを撮影する想定で、Lockモードで撮影してみようと思います。
また、Lockモードに関してはグリップ後方のトリガーボタンを押すことでも使える仕様です。
AIカメラについてはiSteady V3 Ultraを単体で設置し、被写体(自分)を追ってもらいます。
手ブレ補正(歩行/走行):手持ち
まずシンプルにiPhone 13 miniで手持ちした撮影から。
特に手ブレの機能などもないので、歩行のたびにかなり揺れてしまう映像になっていると思います。
歩行くらいであればギリギリ耐えられなくもないといった感じですが、走行にまでなるとブレが目立ちます。
手ブレ補正(歩行/走行):iSteady V3Ultra
ジンバルありの状態。
歩行/走行ともにかなりブレが抑えられて非常に見やすい映像になっているのではないでしょうか。
やはりLockの効きが強く、手持ちと比べると明らかにブレの少ない映像となっています。
トラッキング性能
トラッキングには2種類あり、AIカメラでのトラッキングとアプリでのトラッキングがあります。
AIカメラのでのトラッキングについてはカメラに向かってグッドサインをすると被写体認定されてトラッキングが始まります。
手の平を向けるとトラッキング終了です。
ハンドサインが使えないタイプの被写体をAIカメラでトラッキングしたい場合はディスプレイで直接被写体を選択することでトラッキング可能です。
アプリでのトラッキングについては被写体をタッチで選択しながら囲います。
操作だけで見るとアプリが簡単ですが、追従性能についてはAIカメラでの追従の方が正確で反応も早いように感じています。
ただ、アプリでの追従も非常に正確で、これでも十分のようにも感じました。
この辺りは被写体の速度や視認性などで使い分けていくいくのが良いのではないでしょうか。
iSteady V3 Ultraのよかったポイント
ここからは実際にiSteady V3 Ultraを使ってみてよかったポイントについてまとめていきます。
AIカメラの仕様が優秀

AIカメラによるトラッキングやプレビューが思ったより使いやすかったです。
まずトラッキングについてですが、アプリでも十分なくらい追従してくれたのですが、AIカメラではさらに高精度でトラッキングできたように感じます。
何か被写体を追う場合、被写体が早く動いたとしても正確にトラッキングしてくれるのは非常にありがたいポイントでした。
また、僕であれば1人で撮影を行う場合が多いのですが、その際に自分の顔を認識して正確に追い続けてくれるのはワンオペ撮影勢には頼もしい機能です。
追従性能はいくらあってもありがたいという感じなので、非常に心強く感じました。
手元の操作がわかりやすい

手元での操作は直感的で良いなと感じました。
似たような設定については他メーカーもアプリ経由とか物理ボタンでできるのですが、ディスプレイがあってアイコンなどで視覚的にもわかりやすく操作ができるのは大きな魅力です。
機器に慣れていないと扱いだけで時間がとられ、撮影までなかなかたどりつけないという懸念もあるでしょう。
そのため、本体の操作が直感的で、すぐに使い始められるしわかりやすいというのは非常に魅力的なポイントだと思います。
ジンバル初心者こそ視認性の良さは扱いやすさに直結するので、重要視しても良いポイントだと感じました。
iSteady V3 Ultraの気になったポイント
魅力的なポイントがたくさんあるiSteady V3 Ultraですが、気になったポイントについても共有します。
価格はちょっと高め?
まず気になったのは価格。
まとめると下記。
メーカー/製品 | 価格 |
---|---|
Hohem iSteady V3 Ultra | 25,990円 |
Insta360 Flow 2 Pro | 21,900円 |
DJI Osmo Mobile 7P | 18,480円 |
おそらくスマホジンバルとなると競合メーカーはInsta360からDJIになると思うのですが、この2つのメーカーのジンバルよりも高い価格の設定。
Insta360に関してはアクセサリーをいろいろ付属すると26,000円くらいになるのですが、とはいえデフォルトの価格は5000円ほど安い価格です。
このように比較すると、シンプルにジンバルとしての機能が欲しいだけとか、トラッキングについてはアプリでの対応で十分といった場合、他メーカーの方が価格的には魅力的に映ります。
物理的なセンサーがジンバル自体についているという魅力はもちろんiSteady V3 Ultraにあるのですが、その魅力の差として5,000円から7,000円ほど価格が高くなっているという事実はしっかり検討するべきポイントでしょう。
アクセサリーがない
iSteady V3Ultraは調べたところ追加アクセサリーは特にセット売りはしていないようです。
自分が使っている段階では特に困ったことはなかったのですが、「アクセサリーはあるが使わない」のか「そもそもない」のでは大きく違うので取り上げます。
Insta360がここは強い分野なのですが、交換用の磁気マウントとか三脚など、用途によって細かなアクセサリーが多数発売中。
そのため、自分の撮影スタイルに合わせて便利なアクセサリーを使うことが可能で、撮影を細かいところまでカスタマイズするのであればInsta360の方が最適化を目指せるとは思います。
一方で先ほども説明しましたが、基本的には単体で解決できる能力をiSteady V3Ultraは持っているので、ものすごく大きく撮影で困るということはありませんでした。
強いていえば磁気マウントへの変換があったら嬉しいなというくらいですが、これもスマホの落下防止まで考えればホルダータイプでもいいかと思えるところなので、致命的とは感じなくらいのポイント。
自分がどこを優先したいかという話ではありますが、このような実態もあります。
iSteady V3 Ultraがおすすめな人
ワンオペ撮影で被写体をしっかり追う映像を撮影したい人
魅力的に感じた部分は高精度なAIトラッキング。
これは他のメーカーにも負けない挙動なのではないでしょうか。
アプリを経由して感知をするのではなく、本体側で直接トラッキングを設定できるので、感度が良いように感じます。(アプリ検知も優秀です)
それこそ、自分を自撮りするときや走り回る子どもを撮影するときなど、この機能によってこれまで以上に高精度な映像が撮れるのではないでしょうか。
きれいに映像を撮れるとか手ブレを抑えてくれるというカメラは多数あるものの、意外とトラッキングしてくれるというガジェットは少ない傾向。(オズポケくらいでしょうか)
カメラマンが複数いるようなYouTuberとか映像制作系のチームなら良いかもしれませんが、1人撮影で自分も被写体として撮影をするときは大変です。
そのため、実はスマホジンバルが他のカメラ・ガジェットよりもバリューを出せるのは正確なトラッキングの撮影を手持ちスマホで行えるようになるところだと感じています。
撮影慣れしていない初心者の自分が使う分には、パン方向やチルト方向の手ブレ補正よりもシンプルにトラッキングの方が実力を発揮してくれる場面が多かったです。
もちろん、手ブレ補正は手持ち撮影より滑らかな撮影ができるというところで効果はあるのですが、適正な画角や動き方を知っている人が使うと効果的で魅力的な映像を撮れるというような印象。
あとは手ブレ補正自体に関しては各社メーカーすでに同じくらいの精度まで効果が高まっていて、この補正能力についてはあまり選ぶときの基準にはならないと感じています。
Insta360やDJIというメーカーがいるなかあえて選ぶのであればやはり他メーカーにはないトラッキング性能が優秀であるというポイントでしょう。
まとめ
ジンバルもどんどん進化している分野だということを感じました。
直感的な操作や精度の高いトラッキングを重視するならかなりありな選択肢と言えるでしょう。
気になった人は製品をチェックしてみてください。