- ARグラスは気になるけどメガネ外すと見えないから使えない…
- 映画館のように見えるっていうけど実際どうなの?
みたいな悩みや疑問を抱えている人も多いのではないでしょうか。
今回レビューするのはRokidから発売されている「Rokid Max」。
このARグラスはなんとグラス自体に視力を補正する機能がついていたり、同価格帯トップの視野角の広さがあったりと、機能性に優れる使いやすいモデルです。
普段使っているXREALのARグラスの使用なかで気がついた経験なども含めつつ、詳細にレビューをしていきます。
本記事はRokid様から製品をご提供いただき作成しています。
特徴
- 超広視野角で、最高の視界を提供
- 120Hzのリフレッシュレート
- 補正レンズなしでクリアな視界
- 高輝度で細部まで鮮明に表現
同梱物
- 遮光カバー
- Rokid Max
- USB-Cケーブル
- ノーズパッド
- 携帯用ケース
- 取扱説明書
- クリーニングクロス
デザイン
黒を基調としてるXREALとは違い、暗めのメタリックブルーがポイント。
何回も見てるとこの味わい深さがかっこよく感じてきます。
正面は透過度低めのグラスと丸みの強いレンズが主張しています。
レンズですが、よく見ると上半分が映像を出力している部位(プロジェクター的な役割?)によって隠れていて、レンズ自体が周囲を覗ける幅は半分程度です。
サングラスのように使う物ではないとはいえ、周囲の視野が狭まるのはちょっと不便な場面が出てきそうな気も。
レンズ上部には目玉機能の視度調整のためのダイヤルがついています。
後でもふれるのでここでは割愛しますが、この調整本当にすごいです。
右側背面のツルの部分には音量調整ボタンと輝度調整のボタンがあります。
長い方のボタンが音量調整で、それぞれの端が音量の大小の調整となっていて、小さいボタンは輝度調整。
音量ボタンや輝度調整ボタンの長押しによって、リフレッシュレートの変更や3Dモードへの切り替えを行えます。
左側のツルにはスピーカーのみ付属で、特にボタンはありません。
ノーズパッドは空洞のないタイプ。発売当時は空洞のないタイプが主流でしたが、現在はXREALの新型のようなノーズパッドに空洞があるタイプが主流になりつつあります。
接続端子はUSB-C。これは最高!
VITUREやTCLのARグラスはマグネットで接続するタイプの端子なのですが、断線リスクなどを考えると断然USB-Cがおすすめです。
画質関係
- 解像度:1980×1080
- 色域:sRGB106%
- リフレッシュレート:120Hz
- 視野角:50度
- コントラスト比:100000:1
色域値がやや低めなのが少し気になるものの、他社製品と比べても著しく劣る点はない標準的なスペック。
むしろ視野角については同価格帯では1番広いです。
XREAL Air 2 ProやAir 2は視野角が46度で、VITURE Oneが43度であることを考えるとかなりの差。
この視野角のおかげか、見える画面は広く映り、映画館のスクリーンを本当に見ているかのような迫力があります。
画質自体についても発色が鮮やかで高精細に見え、映像が粗いと感じることはありませんでした。
傾向としてやや黄色に寄った発色になっているので、発色ははっきりしているけれど独自の味付けがちょっとあるような感じ。
視度調整機能
ARグラスの課題として、メガネの上からかけられるものではないという欠点があります。
つまり、メガネユーザーはメガネを外してARグラスをかけないとフィットした状態で見えないのですが、そうすると視力が合っていなくてぼやけた映像になってしまう。
そんなメガネユーザーの悩みを解決するのが視度調整機能です。
このRokid Maxにはメガネ上部に視度調整ができるダイヤルが搭載されていて、これを回して調整することで適切な視力に調整可能。
僕は視力が0.01ほどで乱視もあるのですが、この調整機能を使ったところ小さな文字が読めるくらい補正されて鮮明な映像が見えるようになりました。
音質
低音もほどほどに鳴り響きつつ、中高音の抜け感もそこそこ担保。
YouTubeの動画を流し見するくらいなら全然ありな気がしています。
一方で、しっかり音楽を聴きたいとか、ドラマの音声を聞き逃したくない!と思うのであればイヤホン推奨。
めちゃくちゃ音質が悪いというわけではないけれど、イヤホンに置き換えられるかというそういうわけでもないという程度。
ただし、音質に関してはXREALも似たり寄ったりなところあるし、標準だと思っています。
装着感
ノーズパッドの中身が空洞ではないことによって、鼻につけたときの軽量感というかふわっと乗せたような感覚はあまりありません。
しかし、シリコンで柔らかい素材を使っているので肌触り自体は悪くなかったです。
長時間着用してると、少しずつグラスが重みで下がってきたのは気になりました。
拡張性
オプション製品がかなり充実しています。
Rokid Staionを筆頭にゲームをするためのRokid Hubや純正のUSB-Cケーブルの替えも販売中。
専用アプリも配信していて、これをあわせて使用することで3DoF表示ができるようになります。
Rokid Staionについては別途解説動画を作ろうと思っているので、そこで詳細に話します。
使ってみてよかったところ
実際にRokid Maxを使って見てよかったところについてレビューしていきます。
視野角が広くて大迫力の画面
このARグラス最大の特徴はなんといっても広い視野角。この50度の視野角による映像の迫力がバカにならないくらいすごい。
実際のところXREALの視野角が46度でRokid Maxが50度と考えると、数字的にはそこまで差がないように思えるものの、映像を見てると横幅の見え方に差があります。
極端な例で言うと、視野角が狭いARグラスはテレビを見てるような感じで、視野角が広いと映画館のスクリーンを眺めているような感じ。
画面比率の問題とかもあるとは思うのですが、視野角が広いということは一度に取り込める映像も多くなるということで、より映画館のような迫力のある映像に近づくといえます。 現状発売されているARグラスのなかで視野角が50度超えているのはRokid Maxの他だとXREAL Air 2 Ultraの52度のみ。(ちなみにXREAL Air 2 Ultraは10万)
主要機種が6万円前後で発売されているなか、同価格帯唯一の視野角50度はRokid Maxの大きな強さだと感じています。
視度調整機能で視力0.01でも映像が鮮明
これ本当に感動したんですけど、視力0.01の自分でもはっきりと映像が見えるくらい補正してくれました。
正直視力は悪いし、乱視もあるし、ARグラスについているくらいの補正ではどうにもならないんじゃないかと半信半疑だったのですが、これが驚き、めちゃくちゃ鮮明に補正できるんです。
自分だけか心配になったので、同じく視力があまり良くない普段メガネの友達にもかけてもらったのですが、しっかり補正されていたようで、「メガネなしでもはっきり見える!」と感想を伝えてもらいました。
視度調整機能がない場合、インサートレンズの購入をしなければならないのですが、これは別途作成にお金もかかりますし、制作するまでの時間もかかるのでそこそこ手間です。
また、コンタクトとメガネを両方使う人にとっては、家ではインサートレンズをつけて、外出時は外してなど、付け替えがあるのもめんどくさいポイント。
このように考えると視度調整機能がもともとあるのはものすごい大きなメリットのように感じました。
インサートレンズもつけられる
インサートレンズなしで皆快適!と紹介したいところなのですが、一部例外もあります。
これはXREALややVITUREのインサートレンズの製造・販売を手掛けるJUN GINZAの店員さんから教えていただいたのですが、目には人それぞれ特徴があり、当たり前ですが視度調整機能があるから全員しっかり見えるようになるかは別問題。
例えば、乱視や不同視の場合、純粋な視力補正では解決できない場合もあります。その場合は専門店でレンズを作成する、または自分の視力を確認してオンラインで制作を依頼するなどの方法を取るべきだと聞きました。
実際その通りだと感じていて、普遍的な調整にとどまっているのでなかには調整が難しい人もいるはずです。
Rokidの場合は純正のショップがJUN GINZAではなくLensologyというショップが公式として指定されていました。
または、AR/VRデバイスのインサートレンズを制作しているメーカーもあり、そのメーカーから購入するのもおすすめです。
以前XREALのインサートレンズを制作してもらったVR-ROCKというメーカーがあるのですが、ここではRokid Maxのレンズも制作していました。
クーポンコード【999】を入力すると10%で購入できるので、よければ使用してください。
USB-C接続対応で拡張性が高い
地味に気にして欲しい点として、接続端子がUSB-Cであるかどうかというポイントがあります。
VITUREやTCLのARグラスは接続端子がマグネット型です。これにもよさはあるのですが、断線リスクを考えると安心して使っていけるといえません。
事実僕もXREALのARグラスを使っているうちにケーブルの接続が悪くなってしまって、新しく映像出力対応のケーブルを購入しました。
このようにもしトラブルが起きた場合、独自の規格だとARグラス自体は正常でもケーブルのせいで使えなくなってしまう可能性があります。
この点を考慮するとUSB-Cであれば映像出力対応のケーブルを数多くの種類から選べますし、その他アクセサリーと接続を考えたときも拡張性が広いです。
これらの点からUSB-Cの接続に対応しているRokid Maxはちゃんと使いやすいのが良いところ。
ケースが意外と便利かも
最初この専用ケース無駄に大きくて嫌だなと思っていたのですが、意外とそうでもないかも?と思い始めてきました。
理由としてはオプション製品と有線を一緒にしまっておけるというところです。
XREALの専用ケースはARグラスだけをしまう分、コンパクトなのですが、あわせてケーブルを入れるスペースがありません。
そうなると、ポーチやリュックの小物入れにしまわなければならないのですが、持ち運ぶ環境によってはARグラスはメインの収納スペースで、ケーブルは別の場所にしまって…みたいな感じで取り出しが手間になるかもしれません。
しかし、Rokid Maxの専用ケースであればオプション製品もケーブルもしまっておけるだけの大きさがあります。
これによって、このケースを開けただけでARグラス使用に必要な物が全部そろった状態に。
ARグラス専用ガジェットポーチみたいに考えたら使いやすさを感じています。
使っていて気になるところ
視野角の広さや視度調整機能など、良い点もたくさんありますが、気になったところについても共有していきたいと思います。
眉間がかなり熱くなる
装着していて不快感が強かったのが、眉間部分が高温になることです。
レンズとレンズの間の眉間にあたるこの部分の発熱がかなり強く、蒸れや熱さの原因となりました。
少し前に新幹線に乗りながら使用していたのですが、30分ほど使用しているとしっかりと熱いと発熱を感じられるほどに。
ちょっとぬるめのカイロを額にあてながらずっとかけているような感覚で、思ったより気になりました。
ゲームプレイやアニメ視聴で長時間使用することが想定されるなかでこの熱問題はネック。
映像上部が丸くえぐれて見づらい部分がある
映像を出力する部分がレンズの上部にあるのですが、このプロジェクターのような部分が丸み帯びていて、この影?みたいなのが映り込んでしまっている状態です。
ノーズパッドをくいっと上げて、高さのある状態で見れば気にならないのですが、だんだんと滑って落ちてきて、視線がおちると映像上部中央が見えなくなります。
せっかく映像を見ているのに映像がえぐれて見えなくなるのは情報が不自然に欠けるような感覚で、あまり見ていて心地よいとは思いませんでした。
若干映像が黄色に寄ってる
これは個人差あるところだと思うので、あくまで自分はという前提で話をさせてもらいます。
映像自体は発色がよく、画質が悪いというようなことも感じずにきれいに見えました。
一方で、全体的な映像の発色はやや黄色味帯びているように感じています。
暖色が強めというか、全体的にほんのり黄色を足しているというか…
薄いフィルター1枚かかっていて、寒色表現のときはあまり気にならないけど、暖色を見るときはフィルターが加算されて黄色が強めな映像が見えるような印象を持ちました。
僕が黄色寄りというよりは原色が再現されている方が好きなので、個人的には気になりましたが、そこまで気にならない人もいそうなレベル感の話です。
色域値が他社製品に比べてちょっと低いのが原因として関わっているのかもしれません。
電子調光機能がない
なければないで遮光カバー使えばいいので、大きな問題にはならないのですが、やはり電子調光機能がないので、やや使い勝手が悪いです。
ARグラスは暗い状態でこそ、映像が鮮明に見え、発色も豊かな表現を楽しめます。(暗い部屋の方がスクリーンに映る映像が鮮明なのと同じ感覚)
明るい環境でも暗い状況を作り出すためのアクセサリーが遮光カバーで、これを使用するとアイマスクのように視界を覆うので擬似的に暗い状態を作り出せます。
しかし、暗い状態を作り出すために遮光カバーというアクセサリーをいちいち持って行かなくてはいけません。
ですが、電子調光機能があれば、ボタンを押すだけでグラスの透過度(明暗の強さ)を調整することができ、遮光カバーなしでも暗い状態を瞬時に作り出せます。
ARグラスだけで解決できると持ち物も減るし、ARグラス自体のデザインを見せながら使用できるのも嬉しいポイントなので、搭載されていればさらに使いやすかったと感じました。
視野角の広さが現状唯一無二。デメリットを飲み込めるポテンシャルがある
映像面で痛手のデメリットもありましたが、そんなデメリットも跳ね返すのが視野角の広さだと思います。
現状のARグラスのなかでトップクラスの視野角ということもあり、映像の迫力は圧巻。
40度台のARグラスと比べると横方向に見える長さが違い、より映画館のスクリーンで映像を見ているような感覚になりました。
3DoF表示をして空間を広く見る、という方法もあるのですが、やはり視野角が狭いとたくさん頭を動かす必要がでてきます。
これらの点からより横長で映画館のスクリーンらしい映像をみたい人にとってはRokid Maxが最適であり、迫力のある映像を楽しめるガジェットだと感じました。
まとめ
話題のメーカーのARグラスを詳細にレビューができて感無量です。
今後他メーカーとの比較動画やオプション製品の使用レビューも書いていくので、もう少しRokid関連の投稿が続きます。