12月11日に開催されたXR Kaigiにて、XREALから新製品が発表されました!
新発売されるのはXREAL史上最大のアップデートをされた「XREAL One」。
これまではオプション製品と連携しなければできなかった機能が多数単体で使用できるようになり、1台でできることの幅が劇的に上がりました。
さらに見え方や音響といったところにも大幅なアップデートが入ったことによって、既存の製品とはレベルの違う製品に仕上がっています。
今回はXREALの公式アンバサダーとして先行で製品を提供していただいたので、実際に製品を使ってわかったことや既存のARグラスや他社製品との違いについてもまとめていきます。
提供:XREAL
XREAL Oneの特徴
- 単独使用可能の3DoF機能
- 「X1チップ」を搭載で低遅延に
- 50度の視野角
- 電子調光機能搭載
- 600nitの輝度
- Sound by Boseの音響調整
- 定価69980円
今回は衝撃的なアップデートが多く、非常に大きな進化をしたと言えます。
簡潔にまとめるのであれば、オプション製品不要のARグラスに仕上がったとでも表現すれば良いでしょうか。
これまでオプション製品であるBeamやBeam Proを通してではないと利用できなかった3DoF(空中に映像を固定する見え方)の表示がついに単体で使用できるように。
また、ブレ補正やサイドビューといった機能についても単体で対応しています。
これまで以上にスマートに使えつつも、機能性は上げてきたというところで、既存のモデルとも他社製品とも一線を画すARグラスへと進化したと感じました。
XREAL Air 2 Proとの違い
既存のラインナップでは上位モデルにXREAL Air 2 Proがあります。
違いについては公式HPの表を見るとわかりやすいです。
XREAL One | XRERAL Air 2 Pro | XREAL Air | |
---|---|---|---|
価格 | ¥69,980 | ¥59,980 | ¥40,980 |
3DOF | 3 DoF対応グラス | 3 DoF 対応,追加デバイスが必要 | 3 DoF 対応,追加デバイスが必要 |
チップ | XREAL X1 チップ | – | – |
光学設計 | 光学エンジン 3.0 | 光学エンジン 2.0 | 光学エンジン |
FOV | 50° | 46 ° | 46 ° |
ディスプレイ | SONY 0.68インチ マイクロOLED | 最新のSONY製 0.55インチ Micro-OLED | SONY 0.68” Micro-OLED |
調光機能レンズ | 3モード の調光システム | 3段階,電気調光モード | – |
高視認性(AR) | TÜV Rheinland新基準認証 | – | – |
解像度 | 400万ピクセル、1080p | 400万画素,1080p解像度 | 400万画素,1080p解像度 |
最大リフレッシュレート | 120 Hz 最高リフレッシュレート | 120Hz,最高リフレッシュレート | 120Hz,最高リフレッシュレート |
色精度 | ΔE <3、個別の色校正 | ΔE <3 色制度,個別の色調整 | ΔE <3 色制度,個別の色調整 |
最高輝度 | 600 ニット | 500 ニット,最大輝度 | 400 ニット,最大輝度 |
IPD調整 | ソフトウェアベースでIPD調整 | – | – |
音質 | Boseによるチューニング | 第2世代サウンドシステム | 第1世代サウンドシステム |
目の快適性(AR) | TÜV Rheinland新基準認証 | 目の快適性, TÜV Rheinlandにより認証されています | 目の快適性, TÜV Rheinlandにより認証されています |
フリッカーフリー、低ブルーライト(ハードウェア解決策) | TÜV Rheinland新基準認証 | フリッカーフリー, 低ブルーライト,TÜV Rheinlandにより認証されています | フリッカーフリー, 低ブルーライト,TÜV Rheinlandにより認証されています |
UV保護: | 100% UV保護 | 100% UV 保護 | 100% UV 保護 |
重量 | 82 g | 75 g | 79 g |
注目すべき点は「3DoF」「視野角」といったところでしょうか。
これまで上位モデルのXRERAL Air 2 Proだとしても単独でも3DoF表示には対応していませんでした。
しかし、今回発売されるXRERAL Oneは単独で3DoF表示もできますし、ブレ補正も搭載。
同じことをXRERAL Air 2 Proでもできますが、再現しようと思うとBeamやBeam Proが必要になります。
オプション製品なしでも従来の拡張機能を使えるようになったというところで、既存モデルとの差があると言えるでしょう。
XREAL One Proとの違い
少し情報を追っている人ならご存知かと思いますが、実は海外の公式ではXREAL Oneと同時にXREAL One Proの発売も告知されました。
現状国内では取り扱いをしていないので、続報を待つことになります。
一応今海外のXREALの公式サイトであれば予約は可能なようです。
海外の公式HPから引用して、XREAL Oneと違いがあるところのみピックアップします。
XREAL One Pro | XREAL One | |
---|---|---|
価格 | $599.00 | $499.00 |
光学設計 | 光学エンジン 4.0 | 光学エンジン 3.0 |
FOV | 57° | 50° |
ディスプレイ | 最新のソニー 0.55” マイクロ OLED | SONY 0.68インチ マイクロOLED |
最高輝度 | 700ニット | 600 ニット |
重量 | 87g | 82 g |
個人的に感じる最大の違いは視野角。
57度の視野角は現状発売されているARグラスのなかで1番の広さではないでしょうか。
視野角が広がれば広がるほど、いつも見えているような自然な見え方になっていくので、よりARグラスの利便性が上がるでしょう。
また、最大輝度も向上しているので、より明るく映像が見えることで解像度の違いはなくても映像の鮮やかさなどに違いでる可能性があります。
XREAL Oneの外観・付属品
XREAL Oneの同梱物やデザインについて見ていきます。
同梱物
- 本体
- USB-C to Cケーブル
- 交換用ノーズパッド(S/M/L)
- クリーニングクロス
- 保護ケース
- 取扱説明書
デザイン
カラーについてはブラックのみの展開。
本体の色味を見てみると、グラス正面のフレームがXREAL Air 2 Proよりも深い黒になっています。
ツルの部分などもXREAL Air 2 Proと比べるとやや暗くなっているので、カラーリングも全体的に変わり、印象が違って見えるでしょう。
正面グラスのフレームは薄型となっており、スタイリッシュな印象を受けました。
ツルの部分にはスピーカーと各種ボタンがついています。
赤色のボタンが「Xボタン」、縦長のボタンが「輝度調整/透過度調整」、上側についているのが「ショートカットボタン」です。
XREAL Air 2 Proと比べるとボタンが1つ増えています。
ノーズパッドはXREAL Air 2 Proから変わらず中身が空洞のものを採用していますが、取り付け方が変更されていました。
XREAL One レビュー
ここからはXREAL Oneの各項目についてレビューしていきます。
機能性:単体でできることが多彩
XREAL Oneの特徴はなんといっても単体利用できる機能の多さにあります。
これまでオプション製品を併用することでしか利用できなかった機能が単体で使用できるように。
簡単に表すのであれば、これまでBeamやnebulaアプリを使用しなくてはできなかった機能が数多く単体でできるようになりました。
あまりにもできることが増えたので、それぞれについて追っていきます。
表示モード
既存のARグラスでは単体利用時にはシンプルに画面を投影することしかできませんでした。
しかし、XREAL Oneでは「ブレ補正」「3DoF」「サイドビュー」「ワイドモニター」「3Dモード」の5つの視聴方法が単体で使用できるように!
これまで「ブレ補正」「3DoF」「サイドビュー」というのはBeamというオプション製品を併用しないと使えない機能だったのですが、これが単体でも利用可能に。
これだけでも驚きだったのですが、そこからさらに「ワイドモニター」「3Dモード」の2種類の新しい表示方法にまで対応してるので驚きです。
各表示方法については「ブレ補正」「3DoF」「サイドビュー」はツルの部分についているXボタンで切り替え可能です。
「ワイドモニター」「3Dモード」に関してはショートカットキーに割り当てればワンタッチで切り替え可能、割り当てていない場合はメニュー画面から切り替えできました。
各モードの見え方についてまとめていきます。
「ブレ補正」についてはその名前の通り、手ブレ補正のような補正がかかり、首が動いてしまうときの振動や細かな揺れを抑えてくれます。これで酔いにくく視聴できるので、あると便利な機能です。
「3DoF」は空間固定と表現される見え方で、映像をある地点に固定し、頭を動かしても映像が追従しない表示方法となります。いわゆる「ARらしい」見え方と言えるでしょう。
「サイドビュー」は画面の端に映像を小さくワイプのように表示するモードです。右端か左端か、設置する場所を自分で選べました。
「ワイドモニター」はPCに接続すると湾曲型のウルトラワイドモニターを見ているような映像に切り替わります。
デフォルトの状態だと16:10くらいの比率の映像が目の前に広がるのですが、ワイドモードにすると32:9の比率に変更。
体感として、横にまっすぐ映像が広がるよりも湾曲した方が画面端の視認性が上がって見やすく感じました。
このモードを使用しているときは3DoFの見え方のみで、Xボタンを押してブレ補正のモードに切り替えようとすると強制的に表示が終了します。
また、iPadでもワイドモードを試してみたのですが、表示自体はされましたが湾曲の具合が物足りず、24インチの湾曲モニターを見ているような感覚になりました。
画面が横に伸びず、端が少し曲がっているように見えるだけなので、ワイドモードを使うときはPCでの接続がおすすめです。
「3Dモード」は「sbs形式の3dビデオを再生するのに使用」と本体の説明に書いてありました。
これは何かというと、サイドバイサイドという空間撮影されたデータの再生が可能という機能になります。
僕が試した例にはなりますが、Beam Proの空間撮影で撮ったデータを3Dモード時に再生すると、iPadでもBeam Proで見たような立体感や奥行きを感じる画像が見られました。
XREAL Air 2 ProではBeam Proに接続しないと3Dで画像や映像が見られなかったので、単体で見えるのは非常に便利です。
iPhoneも空間撮影に対応したことから、このモードを使って楽しめる環境というのはどんどん整っていくのではないでしょうか。
その他の表示機能
表示モードだけでもお腹いっぱいなくらい機能があるのですが、実はまだまだ表示関係の機能があります。すごすぎ。
何ができるのかという「画面サイズの調整」と「表示距離の調整」です。
画面サイズについては117・132・140・147・191の5段階の調整が可能で、デフォルトは147(単位はインチ?)でした。
147の状態だと、グラスいっぱいに映像が表示されているといった状態で、接続端末の映像がもれることなく見えます。
191になると、画面の端が少し見切れるくらいの大きさになり、117は全体ははきり見えるけど、ちょっと小さく映りました。
続いて表示距離については、4〜10mの間で距離を調整できます。
デフォルトが4mでそこからどんどん映像との距離を遠くすることで見え方を整えていく方式でした。
画面サイズと距離を組み合わせれば、本当に細かく自分が見たい距離に調整ができるので、これまで映像までの距離が近すぎる・遠すぎると感じていた人は、最適な位置が見つけられるようになると思います。
メニュー画面が優秀
そもそもこれらの設定をどのように操作するのかというところですが、これはXボタンを2回押すことでメニューバーを表示できて、そこから様々な操作ができます。
もはやPCかスマホのアプリでも積んでいるのか?と思うほどですが、これが本体に付属しているから非常にありがたい。
メニュー画面では上記で説明した表示モードや画面サイズの調整だけではなく、オーディオの設定やショートカットキーの割り当ても調整できます。
僕はショートカットキーの割り当てをし、デフォルトは透過モードになっていたところ、電子調光機能にセットしました。
UIもシンプルで使いやすく、設定も簡単にこなせると思います。
電子調光機能ももちろん搭載
XREAL Air 2 Proのときに話題となった電子調光機能はもちろん継続して搭載。
透過度を変更することによって、遮光カバーなしでも明るい場所で鮮やかな映像が見られます。
いつでもどこでも鮮明な映像が見られるこの機能はもはや必須級の機能なので、しっかり対応していてありがたいポイントです。
画質:輝度の向上により鮮明に感じる
映像の処理性能といったところではもちろん向上していると思うのですが、スペックを見る限りは旧モデルから特に変化はないようです。(解像度や色差に変更はなし)
しかし、今回輝度の上限が現行の500nitから600nitに上がったことによって、今まで以上に鮮明な映像に見えるようになったように感じました。
電子調光機能を使うと映像の周辺は暗くなってしまうので、どれだけ映像自体を明るくできるのか、というところで見える画質に違いがあるように感じます。
また、XREAL Oneでは瞳孔間距離を調整するソフトウェアを内臓しており、微妙にピントがあっていないように感じていたという課題も解決できるようになったことも関係しているかもしれません。(メニュー画面から設定可能)
画質の話ではないのですが、見え方として視野角の広がりが見やすさの向上に繋がっているように感じました。
これまでXREAL Air 2 Proでは視野角が46度で、これでも十分大迫力の映像が見えてきました。
ですが、今回50度となったことでさらに広がり、一度に見える画面の横幅の迫力が増したように感じます。
これまで視野角は50度あるRokid Maxが少し先をいく存在だったので、そこに追いついたのは大きな進歩だと思いました。
装着感
数字だけ見ると82gとなりXREAL Air 2 Proの75gと比べると重くなっていますが、致命的なまでの差を感じるかというとそんなことはありません。
82gだとしても鼻や耳に痛みを感じるような感覚にはなりませんでした。
ノーズパッドについてもXREAL Air 2 Proから変わらず中身が空洞になっているタイプなので、プニプニとした反発があり、優しくグラスの重みを支えてくれています。
また、交換用のノーズパッドも付属しているので、サイズを選んで使用することも可能です。
音質
音響はなんと「Sound by Bose」の音響調整。有名音響メーカーとのコラボが実現しています。
これまでの際立って音響が悪かったというわけではないですが、XREAL Air 2 Proと比べると低音の厚みが出てサウンドに迫力が増したと感じました。
それこそHARMANとコラボをしているVITUREのARグラスと遜色のないレベルまで仕上がっていると思います。
音漏れについては構造上どうしようもなく、ある程度は聞こえてきてしまうでしょう。
ノイズキャンセリングについても強調されていますが、電車内でほどほどの大きさで使っていたら隣の人はさすがに気になるレベルの音は出ているような気がします。
自宅や少し人と距離が取れるところで使用する分には、イヤホン不要でコンテンツを楽しめる良い音質のスピーカーになったと感じました。
その他気になるところ
基本的には機能も格段によくなり満足するアップデート内容となりました。
1点だけわがままなような要望を言うとすれば、レンズの透過度はそのままだった、というところでしょうか。
究極的に目指すARグラスというのは透明なグラスの状態で目の前に映像が見えているという状態であると考えています。
最近だとドコモから発売されているMiRZAが透明なレンズのARグラスを実現しました。
レンズの透明度が上がれば、現実の視界に何か映像を映すといった本来的なAR体験の質もさらに向上していくと思うので、徐々にでも良いので透明化が進めばより嬉しかったというのは願望としてあります。
しかし、相当な数の機能を盛り込み、しかも価格はXREAL Air 2 Proの定価から1万円程度しか上がっていないことを考えると、望みすぎな要望です。
XREAL Oneがおすすめな人
ARグラス単体で快適な映像視聴がしたい人すべて
正直XREAL Oneはさまざまな機能を搭載したことによって、既存のラインナップも他社のARグラスも含めて、実用性圧倒的1位に立ったと感じています。
これまで視野角はRokid Maxが50度でXREAL Air 2 Proなどよりは広く優位で、音響に関してはVITUREがHARMANとの共同開発によって他社製品より厚みのある音が魅力でした。
しかし、そんな他社の優位性もすべて置き去りにするほどの機能をXREAL Oneは搭載しています。
視野角については50度になりRokid Maxに並びました。むしろ同じ視野角であればARグラス自体で画面サイズや距離の調整が細かく設定できるXREAL Oneの方が圧倒的に使い勝手が良いです。
音響に関してもBoseの音響調整によってこれまで以上に厚みのある音となり、HARMANとの共同開発をしているVITURE製品に並んだと言えます。
そしてXREAL内の既存ラインナップでは、オプション製品を使わなくてはできなかった機能が単体に盛り込まれました。
これまで少し劣っていたことやできなかったことといった、デメリットのようなポイントをすべて克服し、同レベルまで引き上げる・大きく超えるといった調整をして、圧倒的なポジションについたと感じています。
現状XREAL Oneがあまりにも単体で便利なので、予算があるならこれが最適解と自信を持っておすすめできます。
まとめ
マイナーアップデートなんかではなく、圧倒的な機能を搭載して非常に完成度の高いARグラスとして登場しました。
これまでの「こうなったらいいな」が詰まった現時点最高のARグラスに仕上がっていると感じているので、興味のある人はぜひともチェックしてみてください。