少し前に発売されて話題沸騰中の360度カメラ、Insta360の「X5」、気になっている人も多いのではないでしょうか。
最近渋谷に行く機会があったのですが、スクランブル交差点でInsta360製品を持っている人を信号渡り切るまでで3人ほど見かけたときは知名度というか人気の高さをひしひしと感じました。
そんな人気のメーカー、話題のモデルなわけですが、気になるところとしては実際他のモデルと比べてどうなの?何が違うの?買うべき機種はどれ?といったところではないでしょうか。
Insta360にはX5の他にも正統派なアクションカメラとしてAce Pro 2、小型なアクションカメラとしてGo 3Sなどがあります。
今回は特に購入を検討するとき悩みそうなAce Pro 2と画質や機能性を比べてみて、「実際どっちの方が良いの?」「1台選ぶならどっち?」みたいなところを解説していきたいと思います。
提供:Insta360
X5の特徴
- 大型1/1.28インチセンサー
- トリプルAIチップシステム
- 8K30fps 360°動画を実現
- 「PureVideo」モードで暗所性能が向上
- 交換式レンズシステムを採用
- 「InstaFrameモード」でフラット動画と360度動画を同時生成
- 20分で80%まで充電可能
- 省電力モード時5.7K/185分連続撮影
- 磁気マウント採用
- 84,800円(税込)
製品自体の特徴としては360度映像が手軽に撮影できるところ。

アクションカメラとしてはGoProやDJIなどのメーカーがありますが、360度映像となるとInsta360 一強状態ではないでしょうか。
そんなメーカーが後継機を発売し続け、今や第五世代といった感じ。
X4時点でもかなり評価の高い360度カメラでしたが、X5もさらに完成度が上がり、非常に優秀なカメラとなりました。
ちなみに360度カメラという印象が強いかもしれませんが、アクションカメラ並みに手ブレ補正も強いです。
バイクの走行にはもちろん、ウィンタースポーツやマリンスポーツなど、おおよそアクションカメラと同じような運用が可能です。
有名モトブロガーがメインカメラとして選んでいるくらいなので、その実力は折り紙つきと言って良いでしょう。
X4との違い
Insta360 X5 | Inst360 X4 | |
センサーと処理チップ | デュアル1/1.28インチセンサー 2x Pro Imaging Chips | デュアル1/2インチセンサー 1x 5nm AI Chip |
最大360度解像度とフレームレート | 8K30fps 5.7K+30fps 5.7K60fps | 8K30fps 5.7K+30fps 5.7K60fps |
PureVideoモード | ◯ | × |
交換式レンズ | ◯ | × |
内蔵ウィンドガード | ◯ | × |
InstaFrame | ◯ | × |
バッテリー駆動時間 | 185 分 | 135 分 |
防水 | 15m | 10m |
まずセンサーが旧モデルから大きくなりました。

カメラにとってセンサーサイズが大きくなるのはクリティカルな差となるので非常に嬉しいアップデート。
センサー自体が暗所に強くなったというのもありがたいところですが、暗所性能に関してはPureVideoモードに対応できるかどうかもかなり大きな差です。
これは昨年のアップデートで対応した新機能で、このモードを使用すると圧倒的に暗所が明るく映るようになります。
そのため、暗い場所での撮影が想定される人にとっては、新旧の違いで撮影のクオリティに埋めることができないレベルの差が出てしまうと言っても良いでしょう。
他の違いとしては充電ポートの位置が変わりました。

X4時点ではレンズの近くポートがあり、給電しながらの撮影の場合はケーブルが映り込んでしまうという課題があったようです。
しかし、X5になってポートが下になったことにより、映り込みの心配がなくなりました。
あとはInsta360の特筆すべき特徴でもある磁気マウントにも対応。

カメラネジで留めるのではなく、ワンタッチで取り外しができるアダプターに対応しました。
これによって、アクセサリーの付け替えが劇的に楽になります。
InstaFrame

X4との大きな違いとしてはInstaFrameに対応したというポイントがあります。
これはフレーム内に被写体を捉え続ける「フラット動画」と、「360度クリップ」を同時に録画することができる機能です。
これまで360度映像の特定の画角を抜き出すためには撮影後にInsta360 STUDIOというアプリで画角の編集をして書き出すという作業が必要でした。
しかし、X5から対応となったInstaFrameではあらかじめ設定した画角とあわせて360度映像も同時記録してくれるので、画角を決めて書き出す手間が減ります。
さらに決める画角に関しては正面や背面だけではなく、被写体を自動で追尾する「自動ビュー」が可能です。
この仕様によって360度映像を実際に使う際に格段に編集コストが落ちるので、より身近に360度映像を楽しめるようになるでしょう。
1点使ってみた注意点としては一緒に書き出されるフラット動画ですが、これ縦で撮ると縦のフラット動画しか書き出せないような気がしています。
もちろん、フラット(シングルレンズ)の設定をしたときは自動で16:9の比率の動画を撮れるのですが、InstaFrame使用時のフラット動画については縦なら縦で出力されてしまうので、これは後で動画素材として使うには使い勝手が悪い人もいるのではないでしょうか。
あとで横動画としてフラット動画も使いたいならInstaFrame使用時は横に向けて撮影しないといけなさそうなので、アクセサリーを揃えたり、撮影方法考えたり、一手間だなと思いました。
X4からの買い替えは?
本題からはそれますがちょっと話をさせてもらうと、今作X5への買い替えはかなりありだと思います。
デザインは似ていますが、ハードとソフトともに順当に進化していると言えます。
画質については明るい場所だとあまり差を感じないかもしれないですが、暗い場所に関してはPureVideoモードへの対応でかなり大きな差がつきました。
さらにバッテリー性能の向上やUSB-Cポートの位置変更、磁気マウントへの対応など、全体の印象を変えずにかなり大きなアップデートが入っています。
新機能としては先ほども紹介したInstaFrame。
これによって編集コストが飛躍的に下がる人もいると思うので、日常的に使っているほど「ここがもう少し良くなったら…」みたいなポイントが改善されて非常に使い勝手が良いカメラになったと思います。
今作に関してはマイナーアップデートではなく、しっかりと順当なアップデートをした機種と言えるでしょう。
Ace Pro 2の特徴
- 8Kの撮影に対応
- 2.5インチフリップ式のモニター搭載
- 1/1.3インチセンサーとデュアルAIチップを搭載
- ライカと共同開発のレンズ
- PureVideoモード対応
- 取り外し可能なウィンドガード
- 価格64,800円(セール価格54,700円)
Insta360から発売されているアクションカメラのハイエンド機。

GoProやDJIの製品と比較されることの多い、アクションカメラとしてのトップに立っているカメラだと思います。
特徴は高い解像感とフリップ式のモニター。
アクションカメラとしてはめずらしく、フリップ式のモニターがあります。
これによって自撮りやローアングルの撮影がしやすいです。
コンパクトながら機能性富んだアクションカメラで、X5のような360度撮影はできませんが人気のアクションカメラとなっています。
画質
画質ですが、どちらとも4K30fpsで撮影しました。(X5は360度モード)
見比べてみるとAce Pro 2の方が解像感があるように感じます。
どちらも綺麗で見るに耐えない!みたいな画質をしているわけではないのですが、Ace Pro 2の方が解像感があるように感じました。
明所
明るい状況での比較です。
Ace Pro 2ですが、道路や葉っぱの質感がはっきりとしており、色味についても鮮やかに描写できています。
発色もきれいで見やすい映像でしょう。
一方でX5は描写も一見良く見えるのですが、見比べてみると若干粗さを感じるのではないでしょうか。
また発色についてもやや白飛びしているというか、薄めの印象。
どちらもカラーモードはスタンダートなんですが、けっこう色味が違います。
暗所
暗所についても比較。どちらともPureVideoモードをオンにしています。
明るさという点でみると、X5の方がやや白く映像が映るという特性から明るく映っているように感じます。
一方で、コントラストとか解像感というところで考えると、Ace Pro 2の方が正確に表現ができているように感じました。
シンプルに暗所性能というところではPureVideoモードの強さを感じますが、画質というところで考えるとやはりAce Pro 2の方が強いんだなという印象です。
手ブレ補正
どちらも高い手ブレ補正があります。
バイクに取り付けての撮影なんで、本来はめちゃくちゃ微振動もしているし、揺れているわけですが、そんな揺れを感じさせないほど滑らかな映像です。
Insta360製品はX4やGo3なども使ってきたのですが、どれを使ってもかなり優秀。
もうバイクや自転車に乗っていて不快な揺れというのは感じないでしょう。
ただ、精密に見るのであれば手ブレについてもAce Pro 2の方が滑らかな映像になっていると思います。
微細な揺れも消していて、非常に見やすいです。
今回僕がバイクで撮影してしまったのでどちらも比較的落ち着いた映像になっているのですが、「PureVideoモード」で「夜間」に「自転車」で走るとはっきりとX5の方が揺れている映像も他のYouTuberさんの動画で見つけました。
自転車の方が実は路面から受ける衝撃が強くて大きく揺れるので、よりはっきりわかる映像となっています。
どちらも非常に優秀な手ブレ補正はあるのですが、精密に見るならというところも一応共有です。
というあたりで、手ブレの差はあるのですが、だからといって購入を分けるようなポイントにならないと思っています。どちらも優秀。
価格
- X5:84,800円(税込)
- AcePro2:64,800円(セール価格54,700円)
現状価格差がおよそ3万円ほどある状態。
とはいえこの価格差は機能差というところで受け止めるしかないかもしれないですが、けっこう大きめ。
あとはInsta360に限らずですが、アクションカメラ系に関してはアクセサリーでかなり使い勝手とか拡張性が変わります。
そのためこの価格差があるのであれば、Ace Pro 2を選べば浮いたお金でかなり充実のアクセサリーをそろえて撮影を楽しめるでしょう。
X5は逆に本体台+ある程度のアクセサリーをそろえる資金まで考えなくてはならないので、10万に近い出費になるかもしれません。
このあたりは予算感に応じてというところでしょうか。
どちらがおすすめ?
どちらの方が良いのか、そしてどのような人におすすめなのか考えてみました。
かなり悩ましい課題なので、めちゃくちゃ個人的な主観で考えた答えと、使用場面やニーズ別の答えの2パターンでまとめます。
1台選ぶならX5が楽しい

先に個人的な体感から。
かなり悩ましいのですが、1台持つならこの2機種ならX5を選ぶような気がしました。
決め手は撮れる映像の幅。
もちろん画質というポイントで考えるのであればAce Pro 2の方がきれいに撮れていますし、凝って撮ろうと思えばログ撮影まで可能です。
さらにフリップ式モニターで正確な自撮りもできるので、これはこれで魅力がかなりあります。
一方で圧倒的な記録量で考えるとX5が圧勝。
360度映像自体の理解はあったのですが、自分で使ってみてこの撮影幅の凄さを感じます。
1台持っていればその瞬間の思い出を全部切り取れるのはあまりにも強い。
360度ならではの映像を撮れるのはもちろんですし、思い出の瞬間の自分が見えていない方向まで撮影しておけるのは、後々映像を編集しようとしたときに素材が大量にあるのも嬉しいポイント。
手ブレ補正も強力なのでバイクや他のアクティビティにも問題なく使用できますし、レンズも保護レンズが交換できるので、比較的安心して使えます。
これらのことを考えると総合的に見て1台持つならX5が非常に楽しい撮影ライフを送れると思いました。
モトブログ撮りたい人:X5

モトブログを撮りたいとか、バイク用ドラレコとして使いたい人はX5が最適ではないかなと感じています。
普段モトブログ見られる方だとわかると思うんですけど、正面の画角の他に自撮りの画角もあった方が動画として楽しくないですか?
これまでモトブロガーの方は正面用に1台、自撮り用に1台というところで2台体制で撮影していましたが、X5ならこれを1台で兼用できるのもありがたいところ。
さらに夜間撮影に強くなったことで暗い夜道でもある程度明るく撮影ができるように。
そのため、夜間撮影用に別のカメラを使う必要もないですし、ツーリングの時間的な制限も緩くなったといえるでしょう。
AcePro2でも夜間撮影が強いのは同条件ですが、やはり1つの画角しか取れないのか、360度撮れるのかは大きな違い。
ツーリング中のあらゆる角度の映像を適切に使うことを考えたらX5の利便性は計り知れません。
コンパクトさを重視したい人:Ace Pro 2

一方でコンパクトに使うことを重視したいならAce Pro 2。
X5は画角的には圧倒的に強いのですが、サイズとしてはかなり大きめ。
持ち運ぶにしても大きいですし、撮影のときもかなり目立ちます。
そのため、コンパクトに使いたいならAce Pro 2がおすすめです。
画質についてはむしろ色味や解像感はAce Pro 2の方が高いと思っているので、画質優先の人の場合はこちらでも良いかもしれません。
あとはフリップ式のモニターも扱いやすく、もし自撮りが多いのであればAce Pro 2の方が自分の顔を確認しやすいので撮影しやすいかもしれません。
取り回しと画質を優先するなら確実にAce Pro 2がおすすめです。
最近ストリート撮影キットも発売したので、コンデジ的な使いやすさも上がり、取り回しや日常使いの利便性はさらに上がりました。
また価格についてもX5に比べて安いのも魅力なので、金銭的厳しい人はAce Pro 2でも十分にアクションカメラを楽しめると思います。
まとめ
以前X4はちょっと使ったことがあったんですが、自分でしっかり使うとなるとこんなにおもしろいとは思っていませんでした。
これからもこのカメラで撮影続けていきます!