静電容量無接点方式の最高峰キーボードといえばREALFORCEを想像する人も多いのではないでしょうか。
長時間タイピングをしても疲れないうえに病みつきになる独特の打鍵感にハマってしまった人や憧れている人は数多くいると思います。
そんなREALFORCEからREALFORCE史上最小・最軽量のキーボードが新たに発売されました。
それが今回レビューをしていくキーボード、「REALFORCE RC1」。
持ち運びも想定された軽量なキーボードであり、これまでとは一線を画すほどのコンパクトさ。
この大きさのREALFORCEを待っていた!という人も多いのではないでしょうか。
今回はREALFORCE RC1を実際に使ってわかったことや気がついたことについてレビューしていきます。
提供:東プレ
REALFORCE RC1の特徴
- REALFORCE史上最小·最軽量の70%コンパクトデザイン
- 静電容量無接点方式を採用した独特の打鍵感
- 1ヶ月利用できる長持ちバッテリー
- 優れた静音性
- Bluetooth最大4台、有線1台の最大5台接続
REALFORCE R3との違い
シンプルな話をすればサイズが違います。
これまではテンキーレスのタイプだとしても矢印キーは右側で独立していたので、キーボード全体としてのサイズ感としては大きい仕様でした。
しかし、今回RC1はコンパクト化するにあたって、市場のなかでも一般的となりつつある75%レイアウトに近いモデルとなっています。
また、これまでキーマップが2レイヤーまで対応だったところ、RC1では4レイヤーまで対応。
拡張性というところではRC1がR3を上回っていると言えるのではないでしょうか。
HHKBとの違い
競合として必ずと言っていいほど比較されるのはHHKB。
簡単に特徴の比較をするのであれば、HHKBは60%レイアウトに対し、RC1は70%レイアウト。
ファンクションキーが搭載されている分RC1の方が大きな作りとなっています。
僕の持っているHHKB Professional HYBRID Type-Sの話にはなってしまいますが、キーマップソフトはあってもレイヤーの切り替えはありません。(Fnレイヤーは対応)
また、RC1はAPCにも対応しており、キーそれぞれにキースイッチのオン位置を調整できて、よく使うキーは浅くても反応する、誤打鍵しやすいキーは深めに設定するなどのカスタマイズにも細かく対応できます。
ソフトウェアの面で最新型との差を感じるところがあると感じました。
REALFORCE RC1の外観・付属品
REALFORCE RC1の同梱物やデザインについて見ていきます。
同梱物
- キーボード
- 説明書
- USB A to Cケーブル
デザイン
カラーについてはブラックの1種類のみ。
レイアウトについては70%のコンパクトキーボードとなっています。
全体的なデザインから見ていくと、第一印象は「明るく親しみやすい」です。
ボティはブラックなのですが、キーキャップの色がライトグレーとダークグレーの2色で構成されており、黒系統の雰囲気はあるものの、印象としてはグレーのおかげもあってかなり軽やか。
既存モデルであるR3と比べるとカラーの違いは一目瞭然で、ブラックとしつつも全体的な黒さとか黒の雰囲気が違うことがわかるでしょう。
R3は全体的に重厚さを感じるようなカラーリングや雰囲気だったのに対し、RC1はフレンドリーになったような印象を受けました。
ずっしり重い印象ではないので、コンセプト通り持ち運びたくなるような軽やかさがあるのではないでしょうか。
電源のインジゲーターについてはdeleteボタンのすぐ左についています。
R3では右上端にインジゲーターやBluetooth接続の表示がわかりやすくありましたがRC1はインジゲーターのみの必要最小限かつ省スペースに変更。
キーキャップは外せるようになっていますが、キースイッチは外せません。
また、キーキャップにはデフォルトで設定されているFnレイヤーの操作が印字されているキーもあります。
ボディは先ほども伝えた通りカラーはブラック、そして金属製ではなくプラスチック製の筐体。
重さについては持ち運び想定を謳っている通り同じサイズ感のキーボードの中では600gと比較的軽量。
R3が1.3Kgに対してRC1が600gというところで、メーカー内で軽量なモデルを選ぶのであれば間違いなくRC1が最軽量となります。
右側面に電源ボタンがついており、復帰させるにはこのボタンを押してください。
左側面にはなにもなく、下の側面にはREALFORCEの印字があります。これまで左上隅にロゴがあったので、ロゴ位置が本体正面に見える1から移動となりました。
上側面にはUSB-Cのポートがあり、有線接続や充電をここから行います。
背面にはゴム足と角度調整用のチルトが採用。
角度調整用チルトに関しては1段階のみとなっています。
REALFORCE RC1レビュー
ここからはREALFORCE RC1の各項目についてレビューしていきます。
打鍵感:30gの軽さが正義すぎる
まずRC1に関しては押下圧を30gと45gの2種類から選ぶことができます。
以前R3をレビューした際は45gだったので今回は30gをチョイスしてみましたが、これが大当たり。
30gをめちゃくちゃおすすめしておきます。
本当に押した瞬間の軽さが尋常ではなく、キーにふれただけでタイピングさせてくれるような感覚を得られて非常に快適です。
「ただ軽いだけではタイピングした感覚が薄いんじゃないの?」と思われるかもしれないですが、快適さを感じる反発や感触はしっかりあるのが驚愕のポイント。
まず少しキーを押下するグミをさわったような「ふにゃ」っとした感触があります。
これは静電容量無接点方式のスイッチのなかにあるカップラバーがベコっと凹むときに感じる感触だ、とキーボードの詳細なレビューをしているアライさんが解説していました。
この感触によって「カチカチ」「カタカタ」といった通常の感触ではないですが、独特のひっかかる感触を楽しみながらタイピングができるでしょう。(これがよく「スコスコ」と表現される打鍵感のポイント?だと考えている)
そして底打ちまでキーを押すと感じるのが、タイピング時の衝撃の柔らかさ。
底打ちしているはずなのに、ふわっと受け止めてくれるような感触が得られます。
本来底までタイピングをすると少なからず指先に衝撃が返ってくるのですが、RC1はこの衝撃吸収が非常に優秀で、指に余計な振動や力が返ってきている感じがありません。
この柔らかさによって、指疲れがまったくなく長時間タイピングできると言ってもよいでしょう。
金属製のボディではないことで高級感がないな…と悲しんでいる人もいるかもしれないですが、この衝撃の柔らかさはプラ製ならではのものだと考えています。
そして最後に、キーがしっかりと元の位置まで戻るバネの力。
30gの押下圧ではありますが、底打ちしたあとに指を元の位置まで戻してくれるくらいの力があります。
これによって、指がずっと沈み込んでいるのではなく、バネの力のアシストをもらって次の打鍵に備えられるように。
バネの力があまりにも弱いと、自分で指を戻すようなタイピングをする必要があり、疲れの原因となってしまうのである程度の強さがあるは非常にありがたいポイント。
総じて、打鍵した直度・底打ち時・押下後、すべてにおいて感触や反発が適度で、いつまででも打っていられるキーボードになっています。
打鍵音・静音性:R3同様に非常に静か
やはり静かさは大正義だと感じています。
このキーボードであればどこで使っていてまったく恥ずかしくないくらいの、非常に静かな音で打鍵し続けることができると感じました。
音としては低音ベースの音で、高音の不快なカチャつく音はありません。
高音がないというところで、周囲に響きわたるような音を出す心配もないでしょう。
世の中かっこよくて打鍵感の良いキーボードで溢れていますが、その中には打鍵音があまりにも主張しすぎて職場では使えないモデルもしばしば。
完全在宅の仕事であれば関係ないですが、出勤する仕事の場合は職場のキーボードだったこだわりたいところ。
周囲に人がいる環境だとしてもRC1であれば常識的な音の範囲内なので、問題なく最高の打鍵感を楽しみながら作業や仕事ができるでしょう。
キー配列・レイアウト
キー配列についてはJIS配列とUS配列の2種類から選択可能。
今回はUS配列を選んでいます。
国産メーカーなだけあって、しっかりとJISに対応しているのはありがたいですね。
レイアウトについては70%となっています。
ファンクションキーは搭載しているものの、右端の列にPgUpやHomeなどのキーを配置していないモデルです。
HHKBは60%で、一般的なコンパクトサイズのキーボードが75%であることを考えると、隙間を狙ってきたような、攻めたレイアウトであるように感じました。
個人的には必要な箇所を補強して、使用頻度の低いところを削ぎ落とした洗練されたモデルのような印象です。
足りないキーについてはFnキーとの同時押しで使用できるようになるキーがデフォルトでも数多く設定されていますし、キーキャップにも印字がされています。
多機能でありつつ無駄を感じさせないレイアウトのように感じました。
細かいところに言及するのであれば、コンパクトにキーボードを収めるための工夫としてHHKBと同じく「Z」や「X」といった下段にあるキーが0.25uずれた配置となっています。
本来は「A」の中心に「Z」がくるようなサイズ設計になっていますが、コンパクトサイズにまとめているキーボードではこのように微妙にずらしてある仕様に。
正直言われなければ気が付かないほどの微細な調整ですが、キータッチをシビアに行っている人であれば、この差が大きく感じてしまうかもしれません。(僕は調べるまで気がつけないくらいの仕様でした)
個人的な操作の感想を言うと、Fnレイヤーとの組み合わせ前提の操作が随所にあるのですが、重要なFnキーについては初期設定状態だと右側に1つだけ。(US配列の場合。JIS配列は左側にもあります)
これでは左側のFnキーが必要な機能について快適に操作できません。
そのため僕は左下隅にあるctrlをFnキーに割り当てました。
この位置あるのは完全にHHKBの操作感をそのまま踏襲した形にはなるのですが、これまでHHKBを使ってきて慣れているためかこれが使いやすく感じています。
バッテリー
- フル充電で1ヶ月
RC1ではコンパクトさを重視した結果のためか、これまでの乾電池駆動からバッテリーへ変更となっています。
バッテリーについてはかなり使い込んでいた結果、1ヶ月は保たず、2〜3週間で充電がなくなりました。
とはいえ、2週間は毎日8時間ほど使ってもバッテリーが保ったので、持続時間としては非常に優秀だと思います。
バッテリー式の場合、早くて3日間くらいで充電が必要なモデルもあるくらいで、1週間保てばわりと良い方、バッテリータイプで1ヶ月保つのは十分ではないでしょうか。
また、1ヶ月保っていないと書きましたが、これはスリープに入るまでの時間を設定してしまったからかもしれません。
RC1は初期状態だと、入力がない時間が10分ほど続くと電源が切れるように設定されています。
さすがに10分は煩わしいので、僕はキーマップソフトから設定して2時間入力がなければ電源が落ちる、という設定に変更しました。
このように電源関係の設定も細かく行えるので、一概に環境を統一して1ヶ月とは言えませんが、気をつけて使えば長持ちしそうですし、そうでなければ比較的早くバッテリーがなくなってしまうのかもしれません。
バッテリーについては購入後1年(公式からの購入)は保証の対象、バッテリー交換サービス(有償)も予定しているとのことなので、末長く使う相棒として選んだとしても安心できるでしょう。
キーマップ
REALFORCE純正のキーマップソフトに対応しています。
このソフトの拡張性が非常に高いので、設定したい、こんなことをしていみたいといった要望は基本的に叶えられると感じるほど。
キーボード本体の性能としてはR3がキーマップの切り替えが2つまで対応していたところ、RC1は4つまで設定できるように拡張されています。
さらに設定はオンボードメモリに保存されるので、自分のPCで設定を済ませてRC1に読み込ませておけばソフトのインストールができない社用PCと接続したときでも、設定を済ませた状態で使用が可能です。
APCの設定もでき、よくタイピングするキーのAPは短くし、たまにしかタイピングしないキーは深めにして誤打鍵を防ぐなど、さまざまな活用法が見えてきます。
これらの設定についてはFnキーとの組み合わせによって瞬時に切り替えられるようにデフォルトで設定されていますが、このあたりの設定に関しても自由に組み替えて使用できるため、自分好みのキーボードを細かく作り上げていくことができるでしょう。
その他気になるところ
魅力がたくさんあるRC1ですが、気になるポイントもあったので共有しておきます。
レシーバー接続はできない
RC1は定価3万超えのキーボードで、いわゆる高級キーボードに分類されるわけですが、それでもレシーバー接続には対応していません。
スタイリッシュさ、みたいなところは下がるかもしれないですが、実用性を考えるとこの価格帯にはレシーバーも付属して、多様な選択肢から接続を選べるといいな、というのが個人的な要望。
とはいえ、レシーバーがないのはなにもRC1だけではなく、R3もないですし、もっと言えばHHKBもレシーバーの接続はありません。
同じようなラインナップでレシーバーに対応しているのはNiZのキーボードくらいでしょうか。
なくてもそこまで他メーカーに負けているとかはないですが、あったら嬉しかったことは間違いありません。
尊師スタイルをするにはサイズと高さが懸念
持ち運び想定のRC1。持ち運んだときの仕様としてはPCのキーボードの上に置いて作業をする「尊師スタイル」となるのではないでしょうか。
個人的にはRC1の尊師スタイルはあまり好みではありませんでした。
フルプロファイルキーボードというところもあり、キーボードの高さが高め。
さらにサイズもファンクションキーまで搭載してることで、ディスプレイのギリギリまでキーボードが占領してしまいます。
そのため、高さとサイズからメニューバーがあるあたりのディスプレイの視認性が著しく落ちるという結果に。
ロープロファイルキーボードや65%レイアウト程度であれば尊師スタイルも可能かもしれないですが、個人的にはRC1をキーボード上に置いて打鍵感を向上させるメリットよりも、ディスプレイが見にくいデメリットが勝ってしまいました。
持ち運び想定ではありますが、尊師スタイルを使う用途として活用するのか、というとかなり微妙な気がしています。
本当に持ち運ぶのか?
人によるとは思いますが、僕は正直持ち歩きはしないと思っています。
これはRC1が悪いとかではなく、単純にフルプロファイルキーボードは持ち歩くにしては大きすぎだと感じているからです。
たしかに軽量になって、持ち運べなくはないくらいの重量になりましたが、それでもサイズを考えると大きめのリュックを背負わなくてはいけないレベル。
iPadとあわせて使うにしても外出先で少し作業するくらいなら折りたたみキーボードで我慢し、家に帰ってきてから据え置きキーボードでガツガツ作業した方が良いのではないかと思ってしまいます。
もちろんこれまでHHKBを外作業用のキーボードとして持ち運んでいた人なら問題なく運べる重さかと思いますが、実際外作業に据え置きキーボードを持っていく人はどの程度いるのでしょうか。
僕はカフェでHHKBを使っている人は一度しか見たことないですし、カフェでガジェット広げすぎて作業をすると炎上していた人をどうしても思い出してしまいます。
RC1はシンプルにコンパクトになってデスクの上ですっきり置けるようになったのが嬉しい、それだけで十分な気がしてしまうのは僕だけでしょうか。
REALFORCE RC1がおすすめな人
長時間タイピングできてコンパクトな最高のキーボードが欲しい人
持ち運び想定と謳っていますが、本当に推すべきはREALFORCEがコンパクトに使えるようになったというところではないでしょうか。
これまですごく気になっていたけれど、スペースの問題でどうしても購入できなかったという人は少なくないと感じています。
REALFORCEというところで、打鍵感は最高そのもの。
特に今回僕が選んだ30gの押下圧は今まで感じたことがないほど柔らかで軽快なキータッチを実現していて、本当にいつまでタイピングしていても指が疲れないと感じるほど。
ボディからの反発やキースイッチを押したときの衝撃が非常に柔らかで、この優しさは唯一無二だと思えるほど。
毎日長時間タイピングしている人には間違いなくこのキーボードをおすすめしたと思います。
打鍵感も最高で静音性も高く、デザインでも満足感を与えてくれて、そして指の疲れを感じさせない。
コンパクトサイズになったというところで、これまで使ってきたキーボードやノートPCのサイズ感と変わらず打てるので、違和感も少ない状態で乗り換えもできます。
仮に違和感があったとしてもキーマップソフトによって問題のほとんどを解決できるカスタマイズ性があるのも非常に優秀なポイントだと感じました。
最高のタイピング体験を求めつつ、これまでの作業環境と大幅な変更は避けたいと考えている人すべておすすめしたいキーボードです。
まとめ
誇張抜きで今年1どころか人生1番のキーボードになったと思っています。
あまりにも完成度が高すぎて最近RC1しか使えないほどRC1に夢中です。
最高のキーボードなので、気になっている人は迷わず購入おすすめと言っておきます。
準備中