デザイン性が高く話題の製品が多いMarshallから2024年9月27日にポータブルスピーカーの新作、「WILLEN II」が発売されました。
「小型ながらも、パワフルなマーシャル・シグネチャーサウンドを奏でる」というBluetoothスピーカーで、見た目はまさに小さいマーシャルのアンプやキャビのよう。
大学時代軽音部でギターを弾いていた自分としてはこのデザインはたまらないものであり、デスクにあるだけでテンションが上がります。
個人的にはデザインだけで100点をあげてしまいたくなるところですが、実際にしばらく使ってみてわかったことや気になるポイントについてレビューしていきます。
本記事はメーカー様から製品をご提供いただき作成しています。
WILLEN IIの特徴
- マーシャル・シグネーチャーサウンド
- 最大約17時間連続再生
- IP67の防水使用
- 固定用ストラップ
- 内臓マイクでハンズフリー通話が可能
- Bluetooth LE Audioに対応
- 18990円(税込)
旧モデルとの違い
WILLEN Ⅱ | WILLEN | |
---|---|---|
カラー | BLACK&BRASS, CREAM | BLACK&BRASS, CREAM |
形式 | パッシブラジエーター型 | パッシブラジエーター型 |
通信方式 | Bluetooth 5.3 LE 現在対応準備中 | Bluetooth®V5.1 |
対応コーデック | SBC,AAC,LC3 | SBC |
パワー・アンプ | 38WクラスDアンプ | 10W クラス D アンプ×1 |
再生周波数帯域 | 75Hz-20,000Hz | 100Hz-20,000Hz |
連続再生時間 | 約17時間 | 約15時間 |
フル充電時間 | 約2.5時間(20分の充電で約5.5時間の連続再生) | 約3時間(20分の充電で約3時間の連続再生) |
ワイヤレスレンジ | 約10m | 約10m |
マルチポイント接続 | 対応 | × |
防水機能 | IP67 | IP67 |
感度 | 88 dB SPL @ 1m | 82 dB SPL @ 1m |
重量 | 約360g | 約310g |
サイズ | H105 x W105 x D43.4mm | H100 x W100 x D40mm |
付属品 | USB Type-C to C 充電ケーブル(約82cm) | USB Type-C 充電ケーブル(約51cm) |
マルチポイント対応や対応コーデックの拡張など、オーディオとしての進化が見られます。
一方で、重量やサイズについては増加したようで、少し重く大きくなっているところには注意が必要です。
WILLEN IIの外観・付属品
WILLEN IIの同梱物やデザインについてチェックします。
同梱物
- 本体
- USB-Cケーブル
- マニュアル
付属のマニュアルが英語だったので、日本語版が見たい方はこちらから。
デザイン
カラーについては BLACK&BRASSとCREAMの2色展開。
僕は迷わず見慣れたMarshallのブラックを選択。
まずは正面からですが、これぞMarshallと言わんばかりの圧巻のデザイン性。本当にほれぼれしてしまいます。
学生時代に鳴らし続けたあのMarshallのアンプが手元にあるようで、本当に持っているだけで嬉しくなるような完成度です。
網目の質感、Marshallのロゴ、つまみの光り方…どれをとってもアンプやキャビを思い出します。
正面についているつまみについては再生/停止、曲の進む・戻るなどを操作できるコントロールノブとなっています。
本体上部には電源ボタン・ペアリングボタン・マイク・LEDインジケーターがあり、左側面にUSB-Cの給電ポートが配置されていました。
右側面にはMarshallの創業年、底面には小さいゴム足がついており、直接地面につくのを若干守ってくれます。
この側面を覆う素材なのですが、本当にMarshallのアンプそのものな感じがしていつまででも触ってられそうな質感なのも嬉しいポイント。
背面ですが、固定用ストラップと排熱用の空気穴がありました。
固定用のストラップはアウトドアでの使用を想定しているようで、テントなどの骨組みに取り付けることでどこでも気軽に音楽を楽しむことができます。
突起をはめ込むようにして固定をします。ゴムバンドは伸縮性があるので、意外と伸びました。
WILLEN II レビュー
ここからはWILLEN IIの各項目についてレビューしていきます。
音質|中高音の煌びやかさや抜けのよさが抜群
音質に関してですが、特筆すべきは中高音の抜けのよさ。
ボーカルの声やギターの音が非常にはっきりと聞こえてきます。
こもったような感じはなく、ギターであればカッティングのニュアンスまで伝わってくるような音です。
耳が痛くなるような感覚にはならず、気持ちよく中高音が聞こえてくるのも嬉しいポイントでした。
中高音が綺麗としつつ、Marshallらしい温かみのある音作りに仕上がっているようで、尖ったような高音ではなく、プレゼンスのような音域帯はちょっと抑えてつくったような音に仕上がっています。
低音についても迫力を感じられる音になっていて、僕が聞いている分には非常に満足な音質でした。
しかし、中高音が抜けがよく聞こえるため、そこと比べると迫力が落ちる印象です。
どうしてもスピーカーで音が拡散してしまうというところがあり、低音の厚みというのは伝わりにくくなっているように感じます。
ベースやバスドラの音よりもボーカルとギターがよく聞こえてきました。
不満な音質かというとそういうほどでもなく、十分きれいに聞こえてくるなかで、あえて言うならて言う程度のポイントであるということは理解していただけると嬉しいです。
音量についても出してみたのですが、コンパクトな筐体からは考えられないくらい大きな音が出てきて、家ではMaxの音量まで試すことができないほどでした。
アウトドアで大音量で流すという使い方も十分できるどころか、周囲に注意しないといけないほどの音量が出せると思います。
操作性
ボタンでの操作はシンプル。
操作できるボタンが少ないとも言えますが、少ない分簡単に操作ができます。
まずは本体上部左側の電源ボタン。これは単純に電源のオンオフ。
右隣がBluetoothボタン。
本体上部で押すことができるのはこの2つのみです。
そして正面にはコントロールノブがあり、これは上下で音量の増減、左右で曲送り/戻しに対応しています。
通話への応答/拒否についてもコントロールノブの押し込みによって操作可能です。
マルチポイント
- マルチポイント:2台
- マルチペアリング:8台
旧型ではマルチポイントに対応していなかったものの、新型のWILLEN IIからはマルチポイントに対応。
また、マルチポイントに対応しているだけではなく、8台までの接続は保存しておけるというマルチペアリングも機能を完備。
Marshallは以前レビューしたMOTIF II A.N.Cもマルチペアリングが8台まで可能だったので、接続しておくだけであればかなりの台数まで設定しておけるのが魅力です。
マルチポイントを試してみましたが、音楽再生中の切り替えはできませんでした。この仕様もMOTIF II A.N.Cと同様ですね。
音楽再生を止めて切り替えしてみると、切り替え速度は速く、1秒程度で綺麗に切り替わります。
確実性も高く、10回ほど連続で切り替えをしてみましたが、再生開始した端末本体から音楽がなってしまうことはなく、毎回スピーカーから切り替わった音が流れてきました。
ペアリングは本体上部のペアリングボタンを長押しでペアリングモードにし、接続をして設定完了です。
バッテリー
- 連続再生:約17時間
- フル充電:約2.5時間(20分の充電で約5.5時間の連続再生)
旧モデルから連続再生が2時間伸び、フル充電に到達する時間も30分短くなっています。
順当に進化をしているといえるのではないでしょうか。
アウトドアで使用することを想定されているようですが、屋内外問わず17時間も連続再生できれば困る場面があるようには感じられませんでした。
少なくとも自宅で2週間ほど使用してみましたが、断続的に使う僕のスタイルでは2週間使用しても充電回数は0回。(スピーカーよりヘッドホンで聞く頻度が高いというのもありますが)
基本はヘッドホン、気分転換にスピーカーで聞くくらいの人であれば月1充電とかが可能になるレベルのように感じました。
アプリの使用感
アプリでできることは3つ。
- EQプリセット
- バッテリー保護機能
- 製品アップデート
まずEQに関しては3つのプリセット「Marshall」「低音強調」「音声強調」を選んで使えます。
デフォルトはMarshallとなっており、中音域があたたかく鳴っているようなマーシャルサウンド。
低音強調ではMarshallのモードで少し物足りないと感じていた低音が増し、曲に奥行きや厚みが感じられるように。個人的にはこのモードがよりマーシャルっぽくて好みかもしれないです。
音声強調はボーカルが際立つような音作り。しかし、中音と高音が強調されすぎてカリカリとした音作りになってしまい、曲全体の厚みやサウンドのよさは損なってしまうので、どうしてもボーカルだけはっきり聞きたい、などの局所的なニーズに合わせて使うモードのように感じます。
イヤホンのときにはもっとカスタマイズができたうえ、自分だけのオリジナルのEQも設定できたので、比較してしまうとカスタマイズ性が乏しいです。
一応デフォルトのMarshallサウンドはそこまで不満を感じる音ではないので、低音が足りなければブーストするというところで必要最低限はあるけど、といった感じ。
バッテリー保護機能に関しては、バッテリーの劣化を防ぐために充電スピードの調整や満充電の際の対応などを変更できます。
製品アップデートについてはそのまま、アプリ接続時にアップデートがあれば更新できるようです。
その他気になるところ
コンパクトで迫力もあるスピーカーで個人的にはとても満足でした。
気になるところというか、調べていたら気になっている人がいるポイントを見つけたので共有しておきます。
ステレオ出力はできなさそう
マーシャルでは2台同時に出力するステレオ出力のことをカップリングという表現をしています。
そしてこのカップリングについて調べてみましたが、サイトを見る限り対応しているのは限られた機種のみのようです。
カップリングは、Acton II、Acton II Bluetooth、Stanmore II、Stanmore II Bluetooth、Woburn II Bluetoothで使用できます。
上記機種がステレオ出力対応のようで、残念ながらWILLEN IIは対応していません。
2台購入したとしても左右から音を鳴らすことはできないようです。
有線接続に対応していない
Bluetoothが優秀なのでいらないといえばいらないのですが、有線に対応していません。
筐体全体を見ましたが、オーディオジャックはなく、外部接続は給電ポートのUSB-Cくらい。
デスクに置きっぱなしにするなら有線の方がいいのか?なんて思ったのですが、どうなのでしょうか。
有線で接続すれば電源を取らなくてもいい、とかの仕様だったら有線の意味があるなと思いましたが、普段デスクにスピーカーを置く生活をしていなかったせいであんまりピンときていません。
WILLEN IIはこんな人におすすめ
持ち運びで多用できるデザイン性抜群なポータブルスピーカーが欲しい人
やはりMarshall製品の特徴はなんといっても抜群のデザイン性にあるのではないでしょうか。
正直、ギターを弾いている・弾いていた人にはたまらないデザインに仕上がっています。
そしてコンパクトだけどしっかりと圧のある音を出してくれるスピーカー。
こんなに小さいのに自宅で最大ボリュームまで上げる勇気が出なかったのは驚きでした。
音についてもMarshallらしい温かみのある中音が特徴的で、直感的に好みと言わざるを得ません。
このコンパクトさとデザイン性であれば、どこに持ち出しても恥ずかしくない出来であり、むしろ自慢できるほど。
アウトドアにも使えるように設計してあるので、キャンプはもちろん、友人と遊ぶときに持っていって動画や音楽を視聴するときに使うのも相性が良いでしょう。
まとめ
やはり最高なスピーカーでした。
バンドマンなら持っているだけでテンションの上がるスピーカーとなっているので、検討の価値ありです。