2ヶ月ほどARグラスを使ってきて、XREAL Air 2 Proでできることは一通り把握したつもりになっていましたがまだまだでした。
なんと2024年1月末から新たにXREALのARグラスが全国の映画館でバリアフリー上映に対応したとのこと!
HELLO!MOVIEというアプリを起動した状態でXREALのARグラスを装着すると、対応している映画を字幕付きで見られるという仕様。
これまで邦画の場合、わざわざ日本語字幕がつく映画というのは稀で、聴覚障害のある人にとって映画の字幕問題は根深いものがありました。
ですが技術が進んだことによって、生活の中のバリアが消えつつあります!
HELLO!MOVIEとは
HELLO! MOVIEアプリは、スマホやスマートグラスで映画の字幕と音声ガイドを楽しめる無料アプリです。
映画界では、視聴覚障がい者のためのバリアフリー映画の普及促進を行なっています。障がい当事者のお客様が、映画館にスマホやスマートグラスを持ち込み、専用アプリを起動することで、対応作品であればいつでもどこでも映画鑑賞が可能になりました。安心して映画館でHELLO! MOVIEアプリをご利用ください。
https://hellomovie.info/
令和5年にはバリアフリー・ユニバーサルデザイン推進功労者表彰式にて内閣総理大臣表彰を受けるほど、注目度の高いプロダクトです。
これまで貸し出し機器のみで字幕や音声ガイドなど、障害のある人たちへの支援を行ってきましたが、ついに個人の端末でも可能に。
これはすごいことで、これまで邦画の映画にあえて日本語の字幕などつくことはほとんどなく、聴覚障害のある人は邦画だから見られない映画が多数ありました。
しかし、これからは自分が端末を持ってさえいれば、全国どこの映画館でも自由に字幕付きの映画を見られるようになったということで、社会的な不自由さの壁が一気に取り除かれたような気がします。
XREALのARグラスを使うには
XREALのARグラスはすべて対応しているようです。
1点注意としてはオプション製品のBEAMの使用が推奨ということ。
実際に映画を見に行ってきたときに試し忘れてしまったのですが、おそらくBEAMがなくても映像自体は見えるものの、BEAMがないと3DoF表示が行えません。
3DoF表示がない場合、字幕の位置を固定できないので、不自然な位置に字幕が来てしまったり、映像の重要な場所に字幕が重なってしまったりと、視聴するうえで不便なことが多数想定されます。
BEAM使用時は3DoF表示ができるので、字幕を調整次第で映像の自由な場所に配置できるのが魅力です。
視聴準備
- アプリをダウンロードする
- アプリを起動
- ガイドデータをダウンロード
- ARグラスを接続して待機
ガイドデータは事前にダウンロードしてから映画館に行くとよいでしょう。
席に着いたらアプリを起動して、使いたいモード(今回は字幕ガイド)を選択し、視聴予定の映画を検索してARグラスと接続すれば準備OKです。
最初はARグラスを接続しても待機してくださいという表記しか出てこなくて、「本当に大丈夫なのか?」と不安になりますが、本編が始まると同時に音を拾って字幕が自動で再生されます。
ARグラスはまだまだ認知されていないガジェットであることに加えて、ARグラスを装着すると字幕が見えるなんて周りの人は知らないので、「あいつ盗撮でもする気なのか?」みたいな不審な目線を感じたのがちょっと嫌だったかもしれない。
こればっかりはしょうがないことではありますが、今後の周知と認知の拡大に期待です。
僕も認知拡大に向けて積極的に頑張りたいと思います。
良かったポイント
期待大で見に行った映画ですが、技術の進歩を感じずにはいられないほど感動したポイント多数!
良かったポイントについてまとめていきます。
字幕の精度は十分
映画が始まる直前まで「この画面のまま待機して下さい」の表示から動かなかったので心配になりながら本編を迎えたのですが、しっかり本編の始まりと合わせて字幕が始まりました。
気になる精度ですが、気になるところがないくらいしっかりしていました!
普段洋画を見るときの字幕のように、遅れることも早くなることもなく、場面に合わせてあったタイミングで字幕が表示されます。
マイクで音声を拾いながら字幕を出すシステムのようだったので、遅延を覚悟していたのですが、あまりにもスムーズで逆に驚いてしまいました。
一応公式からもマイクを塞ぐと認識が悪くなるとのことだったので、接続していたiPad mini 6を膝の上に置きながら視聴したのですが、問題なく視聴できました。
字幕の輝度を変えられる
暗い映画館なので、字が明るすぎると目が痛いなと感じたのですが、これは本体の画面輝度のボタンで調整可能です。
暗いシーンでは明るすぎるとはっきり見えすぎて目が痛く、明るいシーンでは暗いと視認性が悪くなるので、場面に合わせて調整すると常に快適な明るさで字幕が見えます。
3DoFモードでの視聴がおすすめ
視聴するときは3DoFモードが見やすいと感じました。
3DoFモードであれば、BEAMのモード切り替えボタンを押すたびに字幕の位置を調整できます。
ブレ抑制モードでは字幕を適正な位置に調整できないので、映像の邪魔にならない位置に字幕を動かす場合には必須です。
iPadとの接続でも動作した
ちょっと心配だったのがiPadとの接続でも動作するのかということ。
というのもアプリがスマホ用のUIだったので、iPadでも動作するのか心配だったのですが、問題なく使えました。
現状Androidスマホの人はスマホと接続できますが、iPhoneユーザーは15シリーズしか接続できません。
となると、iPhoneユーザーで15を持っていない僕はiPadで見るしか手段がなかったのですが、なんとかなって良かったです。
気になる・注意したほうがよいポイント
技術の進歩に感動した一方で、感じた気になる点や注意したほうがよさそうなポイントについてまとめておきます。
映像の彩度が落ちる
字幕は快適なのですが、映像の映りがかなり暗くなります。
これはXREALのグラスがそもそも少し暗いことが原因です。
XREALのARグラスの基本の使い方であるディスプレイ表示の場合、周囲が明るいと映像が見えにくくなってしまいます。
そのため、グラスは普通のメガネのように透明ではなく、少し暗い作りに。
暗いシーンだと画面全体が黒く潰れてしまって、映像の表現を感じ取れないほど暗くなり、明るいシーンでも色味が薄く鮮やかさが物足りなかったです。
正直せっかく映画を見にきたのに、このグレーがかった映像を2時間みるのはもったいないと感じてしまいました。
字幕の技術は精度も十分な一方で、ARグラスの透過度が透明にまでは近づいていないというグラス側の技術が課題です。
視界の端の視認性が悪い
XREALはというか現在発売されているARグラスの多くは、グラスの中に映像投影用のディスプレイがさらにあるような作りです。
そのため、ディスプレイがある分視野が狭くなってしまいます。
この状態で映像を見たとき、映画館のスクリーンすべてを見るのは難しく、どうしても映像の端は見切れてしまいます。
映像を余すことなく大迫力で見たい場合、グラスをつけると画面の端が見切れて視認性が悪くなるので、臨場感のある映像の視聴を優先するときにはおすすめできません。
中央後方が1番見やすい気がする
字幕付きで映像を見たとき、端の席に座ってしまったのですが、これはあまりよくなった気がしてます。
もちろん端の席だからといって字幕が見えないということはなかったのですが、ARグラスの視野角の問題で、端の座席だと映像の見切れや字幕と映像のフィットかんなどに少し違和感を感じました。
まだまだこれからの技術ということもあって、最大限快適な映像を見るためには自分が最適なポジションで見るという自分の努力も必要です。
中央で試せてないので言い切れはしませんが、中央の後方の席であれば自然と広い映像を中心で捉えることによって画面の見切れや字幕位置の不自然さも軽減されるのではないかと思います。
まとめ
人生初のAR体験になったのではないかと思います。
自分の経験としても貴重ですし、これが広まっていけば障害の有無に関わらず映画が楽しめる世界が待っていると考えると素敵ですね。
もっと広がってほしいので、このプロジェクトを応援してます!
コメントを残す