【iPad Pro(M4)長期使用レビュー】最高だけど9割の人には不要|使い続けてわかったメリットとデメリット

昨年の5月に筐体の規格が変わり、ディスプレイも待望の有機ELとなり、メジャーアップデートと呼べる進化を遂げたiPad Pro(M4)。

個人的には非常に嬉しいアップデートが多数ありましたし、iPad Proとしての転換期のようなiPadだったのでうきうきで購入しましたが、正直これは万人におすすめできるiPadではありません。

今回は「最高だけど9割の人には不要」と感じているポイントについて、長期使用を通してわかったことについてまとめていきます。

また、最新の情報であるWWDC25で公表されたiPadOS 26にも一部触れながら話していく予定です。

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好きなポイント

まずは1年の使用を通して感動したポイントや使い勝手が良かったところについてまとめます。

とにかく画面がきれい

やはり嬉しいポイントは画面が見やすくきれいなところ。

旧世代のiPadから大きく進化したポイントである、有機ELディスプレイは見やすさが大きく違います。

一般的に有機EL(OLED)のディスプレイになるとコントラスト比・解像度・輝度の向上などがあると言われています。

これらについてはiPad Pro(M4)でも感じる部分です。

コントラストの表現が豊かになったというところで、色の表現がより良くなったように感じます。

元々iPadは画面がきれいだと感じていたのですが、より一層良くなったことで、これまでよりもさらに映像が見やすくなったように感じました。

「見る」ことに強みがある端末だからこそ、ディスプレイ性能の向上というのはiPadでの体験を押し上げる非常に良いアップデートのポイントです。

あとは僕は普段動画を見たり電子書籍を読んだりするくらいなのであまり恩恵はないのですが、有機ELになることによって黒の表現に強くなるのも魅力。

これはゲームをする人にかなり重要な項目らしく、例えば敵が洞窟に隠れながら射撃をするとき、ディスプレイのコントラストが甘いと洞窟の影とキャラクターの色が同化してしまって見分けられないそう。

そのため、ゲームプレイ時には階調をつけて表現できるかどうかが非常に重要になるので、ゲーマーの人には非常に重要なポイントになるでしょう。

軽量で持ち運びやすい

旧モデルと比べて20gほど軽くなっています。

「20gなんて誤差じゃないの?」という声が聞こえてきそうですが、このサイズ感のガジェットの20gはかなり大きな差です。

明らかにこれまでのiPad比べて軽量になっています。

もはや現行のiPadのなかでも同サイズ帯のなかでは1番軽いiPadとなっていて、Airの立ち位置を奪ってしまうようなモデルとなりました。

iPadは軽快に持ち運んで使うガジェットだからこそ、軽快さに磨きがかかるアップデートは非常に嬉しいポイントです。

このアップデートのおかげでよりiPadが身近になって持ち出しやすくなったので、使用頻度が増えたような気もします。

間違い無い性能

iPad Pro(M4)の大きな特徴としてiPadらしからぬ高性能さがあります。

Mチップがのったことによって飛躍的な進化を重ねたiPadですが、そのチップもM4にまでなることによってさらにその性能を上げました。

一概に比較することはできないのですが、もはやPCよりも良い挙動をするレベル。

クリエイティブに使ってもまったく問題ないどころかもはやオーバースペックなのではないかと思うほどサクサク動きます。

写真の現像はもちろん動画編集などもこなせてしまうほどのスペックで、これからiPadで何か作業をしたいと考えている人にとっては間違いない性能です。

クリエイティブ関連でなく、ブラウジングとかテキストワークだとしても、アプリが安定して挙動するというのは非常に嬉しいポイント。

iPad Pro(M4)を使ってからもちろん動作が重いとか作業が不安定といったことはなく、快適に使用ができています。

気になったポイント

非常に気に入っているiPad Pro(M4)ではあるものの、正直これを誰しもにおすすめできるかというと非常に微妙。

決して気になるポイントがないわけではないというか、もっと言ってしまえばiPad Pro(M4)を買うべき人は非常に少数で、基本的には不要ではないかとまで思っています。

その理由や使用してきて気になったポイントについても共有します。

価格が高い

最低価格で168,800円。これはとんでもない金額です。

iPad Air(M3)の最低価格が98,800円であることを考えるとなんと価格差6万円強。

一台無印iPadが買えてしまうほどの差があります。

世の中物価高騰で値上げしているのはわかるのですが、正直ここまで価格が高くなってしまうと、この価格を出してまでiPadを買うのか?というのは一度冷静にならなくてはいけないところ。

iPad内でくらべてもそうですし、最低価格のMacBook Airであれば164,800円なので、なんとiPad Pro(M4)を購入する金額で買えてしまいます。

iPad Pro(M4)がいくら性能が良い!といってもそれはあくまでタブレットとしての話になってきますし、それこそ性能を積んだとしてもiPadで行うべき作業なのか?という疑問が残ります。

となると重い作業はPC→スペックを積む恩恵がある、軽い作業はiPad→スペックを積む必要がある?となってしまって、これだけ高い価格を出す理由が見つかりにくいといった印象です。

正直僕は使いたいアクセサリーがPro限定があるとか、これから発売されるアクセサリーでProのみ対応の場合に使えないといった、プロダクトを楽しみたいからProを買っていますが、性能が必要だから買っているわけではありません。

性能は確かに良いのですが、その分価格が上がりすぎて、PCまで買えてしまうレベルとなるとこの価格差をどう考えるのかは非常に難しいところ。

MacBookとどう使い分ける?

少し価格でも触れてしまったのですが、16万超えの価格にPCにも匹敵するスペックというところで、もはやMacBookのようなレベルに到達しているiPad Pro(M4)。

性能が上がりすぎて棲み分けが曖昧になっているような気もします。

しかも単純なマシンスペックだけではなく、ソフトウェアもMacBookに近くなってきました。

WWDC25が日本時間6月10日午前2時から行われたのですが、ここでiPadOSについても言及があり、このアップデートによってiPadのMacBook化が進むかもしれません。

言及されたアップデートとしては下記。

  • 同時に展開できるウィンドウの増加
  • Split Viewとステージマネージャを組み合わせたような新しいマルチタスク機能
  • バックグラウンドで動画の書き出しなどを継続可能に

もはやMacBookか?と思うほどのアップデートが入ることになりました。

これまでウィンドウについてはMacBookなみとは言えない挙動でしたが、今後のアップデートではその心配もなくなりそうです。

また、バックグラウンドでの書き出し作業にも対応するとのことで、クリエイティブ系の作業の書き出しを後ろで走らせながら他の作業をするといったこともスペックの高いiPad Pro(M4)ならできてしまうでしょう。

こうなってくると本当に小さいMacBookのような運用ができる気がします。

ですがいくらMacBookに近づいたとしても本質的にはiPad。

OSがどうしてもiPadOSなのでMacBookに近づけたとしても使えるアプリや仕様がどうしても違います。

もっと本格的な作業ができるように!とあれこれ追加していくと、「あれ、これMacBookでよくない?」の世界線が見えてきてしまうのではないでしょうか。

スペックが高いのはありがたいのですが、iPadで本格的な重い作業をメインでやるのかと言われると微妙な気がしてしまいますし、MacBookのように使いたいのかと言われるとそれも微妙。

性能が高いからこそなんでもできてしまうのですが、何でもできてしまうが故になんだか中途半端な感じもしてしまいます。

iPadはiPadとしての使い方に振り切るならここまでの価格は出さず、Airや無印といったモデルを選んで圧倒的にPCと価格で差がついている機種を選んで快適なタブレットとして運用すると割り切るのも1つなのではないかと思ってしまいました。

価格に対するスペックの恩恵

最低16万に対してみなさんはどのように感じるでしょうか。

「高すぎる!」「性能を考えれば妥当」いろいろあると思います。

僕も性能とかビルドクオリティに関しては非常に満足しているので価格は高いとは思いつつも、壮絶な不満を口にするほどではありません。

しかし、16万の価格に対してどれくらい恩恵を受けられる人がいるのかどうかは非常に微妙だと思っています。

前提16万あれば良いPCが買える値段。もはやそれなりのゲーミングPCだって視野な価格でしょう。

となると、ちょっとしたPC並みになにか恩恵があることを自ずと期待してしまうのですが、このスペックや機能による恩恵を満足いくまで受けられる人はどのくらいいるのかは疑問です。

イラストを仕事にしている・趣味のレベルを上げたいという人にはうってつけかもしれません。

しかし、写真や動画の編集作業に関しては16万をiPadにかけるくらいならPCの方が快適に作業できるのではないかと思ってしまいます。

価値に対する感覚は人それぞれだと思いますが、本質がiPadであることを考えるとなかなか恩恵を受けられる人は少ないのではないかと思ってしまいました。

基本的な動作に関しては正直無印でもProでも変わらないので、この価格差は単純にスペックとか細かな対応機能によるところ。

ProだからMacOSが動くとかそんなことはないので、価格が安かろうと高かろうと根幹は同じ。

となると人によってはiPad自体のスペックはもうAirくらいで十分になっていて、あえてProを購入するほどの必要がない人も多いのではないでしょうか。

僕は発信もしていますしプロダクトを使いたいという気持ちがあったから満足していますが、日常使用においてiPad Pro(M4)だから良かったと感じる場面は少ないようにも感じています。

正直最近のiPadは性能がどのモデルも上がってきているので、ブラウジングとかテキストワーク程度ならAirでも十分不満なく動いてくれます。

そう考えると、どこに魅力や価値を感じてProを選ぶ必要があるのかというところはよく考えてから購入しないとミスマッチが起こる人が多いような気がしました。

iPad Pro(M4)が必要な人とは?

プロダクト愛が強い人
イラスト制作用に本気で使いたい人

僕個人の体感の話だと、写真や動画のクリエイティブ用途の効率化を図るためにProを選ぶくらいならPC買った方が幸せになれると思っています。

僕は普段からiPadを使う生活をしていますが、それでも動画編集はMacBookで行っています。

やはり画面が小さいのが気になりますし、編集系の重い作業になるとPCの方が優位です。

また、本気でクリエイティブに取り組むとなるとメジャーなツールはPCのツールになるのではないでしょうか。

というあたりで動画編集用途にはあまりおすすめしませんが、イラスト系には親和性があると感じています。

繊細な色表現もわかるディスプレイに安定した操作性のiPadは非常に相性が良いのではないでしょうか。

また、iPadというプロダクトが好きな人はProを買っても問題ないと思います。

まさにこれは僕なのですが、スペックがあるからといって必ずしも意味のある作業とかクリエイティブをすることが正義というわけでもないはずです。

もちろん高いお金を出して買った製品なので、何か還元できるような用途に使えるともちろん嬉しい。

しかし、生産性や効率化だけで生きているわけではないので、理屈を超えた愛で購入して楽しむのも重要だと考えています。

シンプルに映像がきれいとか、持ってみたら軽い!みたいな、「そんな小さな変化のために大金だすの?」と理解されないかもしれないですが、でもその小さな差でiPadを使う頻度が増えるなら買った意味があると思いますし、なによりProを持つということによって自分自身の所有欲とか達成欲みたいなのが満たされて前向きに生活ができるかもしれません。

お気に入りの、納得したものを持つというのが、スペックや機能で語るガジェット選びでは抜けがちですけど大切な視点だと思っています。

だからこそ僕はスペックを使いこなせているかと言われると微妙ですが、非常に満足して使っています。

9割の人には「無駄に高い買い物をして…」と理解されないかもしれないですし、論理で考えれば正直無駄かもしれないですが、僕にとっては最高の買い物だったと思っています。

まとめ

iPad Pro(M4)の長期使用レビューでした。

もうなにも不満なく快適に使い続けられた1年で、これからもたくさん使っていきたいと思います。

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