ついに手を出すことができました、そう自作キーボードに!
これまで興味はあったものの製作難易度とかコンパクトさとかいろいろな部分で手を出せていなかったのですが遅ればせながらついにデビューです。
しかもただのキーボードではなくiPad miniと合わせて使うことを想定されたキーボード。
それが今回紹介していくimDRESSionsのそうすけさんが製作・販売を手がける「DRESSTHING」です。
極限のコンパクトさに秘められた無限大の可能性を一緒に見ていきましょう。
DRESSTHINGとは
- iPad miniのために設計された自作キーボード
- サイズがiPad miniと同じ
- 35キー+ロータリーエンコーダーの30%キーボード
- スイッチ交換のできるホットスワップ仕様(対応スイッチ:MX、choc V1、choc V2 Full POM)
- BLE Micro Proを使用した無線接続に対応
- vialを使用したキーマップ変更に対応
- 一体型、折畳型、分割型の3つのスタイルに組み替え可能
DRESSTHING(ドレッシング)はimDRESSionsというYouTubeチャンネルを運営するそうすけさんが製作・販売を手がけているキーボードです。
なんといっても特徴は「iPad miniのために設計された自作キーボード」であるというところ。
そうすけさん自身がiPad miniの使用に関しては並々ならぬ熱意を持っていて、iPad miniの活用からアクセサリー選びまで非常に参考になることばかりです。
そうすけさんのチャンネルの中で仕様に関することについてある程度言及はされているのですが、詳細なコンセプトや特徴については後日記事が公開されるようなので公開を待ちましょう。
スタイルについて
現在自作キーボードといえばKeyball39やroBa などのトラックボール付きキーボードが人気なのではないでしょうか。
たしかにDRESSTHINGにはトラックボールはついていませんが、差別化できる大きなポイントがあります。
それがスタイルを切り替えられるというところ。
DRESSTHINGは裏プレートを換装することによって「一体型」「折り畳み型」「分割型」の3種類の使い方をすることができます。
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様々な使用環境の人がいることを考えると、多様な形態で使用ができるというのは大きな魅力ではないでしょうか。
現在僕は一体型で使用をしていますが、これから使用に応じて使い分けは検討中です。
スタイル切り替えはできるのですが、簡単にできるわけではなく、それぞれのスタイルで使用する度にネジを外してそれなりに作業をしなくてはいけないので、少し手間がかかるのは注意しましょう。
リマップについて
このサイズ感で気になるのは「どうやって入力するのか?」というところですよね。
35キー+ロータリーエンコーダーの30%キーボードというところで、僕が普段使用している75%程度のキーボードと比べると圧倒的なまでのサイズの差がありますし、数字キーを含めないと困るキーがたくさんあると思います。
これを解決するのがリマップの機能です。
既製品でも最近は対応する機種が増えてきましたが、このDRESSTHINGは自分でキーマップを調整するのが前提のキーボードとなっています。
Vialというツールを使用することで、このサイズでも大きなキーボードと変わらない操作感にカスタマイズ可能です。
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Vialでリマップをすることで、特定のキーを長押ししているときだけ別のキーとしての役割を持たせるとか、ダブルクリックのように素早く押すと別の挙動をするなど、細かな設定をすることで快適な操作性を実現させていきます。
現在の僕のセットアップについては後ほど紹介します。
製作は簡単
スペックややデザインも気になりますが、さらに気になるのは製作難易度ですよね。
結論から言うと非常に簡単で2時間あれば組み立てはすべて終了するレベルです。
僕自身初の自作キーボードというところでかなり身構えていたのですが、非常に簡単に製作を進められました。
製作難易度が低かった理由としては2つあり、「ハンダ付けが非常に少ない」「ビルドガイドが丁寧」というところです。
まず1つ目のはんだ付けについてですが、はんだを自分でする箇所が合計で10箇所程度でした。
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僕はてっきりキースイッチを取り付ける部品や細かいパーツまですべて自分で作業しないといけないと思っていたので拍子抜けするレベルで少なかったです。
はんだの箇所についても難しいというほどではなく、中学校の授業に練習用くらいの難易度でした。
ほとんど完成されているような状態で届くので、はんだに怯えている人には安心してくださいと伝えたいです。
そしてビルドガイド。
そうすけさんが制作した非常に丁寧で細かいところまで行き届いた説明書があります。
手順の1つ1つが細かく明記されているので、順番に従って製作を進めれば困ることはないでしょう。
実際に僕もビルドガイドを見ながら組み立てたわけですが、1度もつまずくことなく最後まで組み立てができました。
パーツの向きや設置した後の写真などを丁寧に載っているので迷わず組み立てられます。
打鍵感・キースイッチ
DRESSTHINGは自分で選んだ任意のキースイッチやキーキャップを使用することができます。
キースイッチについてはMX、choc V1、choc V2 Full POMの3種類のキーから好みのもの選択可能です。
現在の僕の使用キースイッチやキーキャップについてはどちらもLofree Flowのホワイトモデルのものを使っています。
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以前遊舎工房で実際にKeyball39をさわってみたのですが、使用されていたキーキャップがフルプロファイルのキーキャップやキースイッチで、思いのほか手首が返ってしまって個人的にはフィットするという感覚になれませんでした。
そのため自作を作るならロープロファイルのキーボードにしようというのは前から決めていて、であれば打鍵感が好きなLofree Flowにしようという流れです。
筐体はいつもつかっている既製品と比べると非常に簡素なわけですが、意外とスイッチがちゃんとしていれば筐体差を致命的なまで感じることなくタイピングできています。
シンプルにLofreeの心地よさに感動です。
キーマップの設定が鍵
最重要の項目がきました。そうです、このコンパクトなキーボードはキーマップの設定が命。
この設定のこだわり方で心地よく使えるかどうかがはっきりと決まってくるでしょう。
僕は以前EEPOMAKERのTH40というコンパクトレイアウトのキーボードを使ったのですが、このときに非常に大きな学びを得ました。
コンパクトなレイアウトということでどこかのキーに複数の役割を割り当てるというのが必須なのですが、ここで人によって特性が出ると考えています。2パターンあってそれが下記。
- このキーボード専用の割り当てで快適に使える人
- いつものキーボードに近いレイアウトではないといけない人
みなさんはどちらでしょうか?僕は圧倒的にいつものキーボード派でした。
もはや習慣レベルでタイピングの配置というのは染み込んでしまっているので、特別なレイアウトで使うというのが僕は難しかったです。
そのためTH40のときはなるべくいつもの配置で揃えたのですが、そうするとかなり快適に使用すできるようになりました。
というところでDRESSTHINGについても普段使っている70%レイアウトから逸脱しないレイアウトというのを意識しながらレイアウトを設定して使っています。
レイヤーについて
ここからは僕の設定について解説します。
まずレイヤー0が基本のレイヤーです。
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このレイヤーをベースに様々な機能を使えるようにしてあります。
文字が打てないと話にならないのでベースはアルファベットの配置です。
既製品と大きく異なるのは最下列の設定でしょう。
大きな文字で書かれているところはシンプルに短くキーを押したときの挙動です。
スペースやTabなどのキーが単押しで反応するようになっています。
では下に書かれた小さな表記は何かというと、長押ししたときに現れる機能の表記です。
これが自作キーボード最大の魅力といっても過言ではないカスタマイズ性を爆上げする「Mod-Tap」や「Layer-Tap」と呼ばれる機能。
例えばCapsLockのキーには長押ししたときには⌘になるという設定をしています。
そのため、CapsLockのキーを長押ししながらCやVなどのキーを押すとショートカットが使用できるというわけです。
Layerと書かれている場所についてはそのキーを押している間だけ別のレイヤーが現れるという機能になります。
そのため、左スペースバーを押すとレイヤー1に切り替わるので、KやLの位置を押すと「」が入力できるという仕組み。
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右スペースバーであればレイヤー2なので数字関係が入力できるようにしています。
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このようにレイヤーを駆使することでいろいろな入力ができるというわけです。
そしてこのレイヤーについて基本的には通常のキーボードの配置に沿って配置しています。
例えば伸ばし棒や=といったキーは本来Pの横に「ー」「=」の順で並んでいるのでその通りに。
同様に「」などについても配置をそのままにしています。
この設定によって特別な動きにすることなく、特定のキーを押すという操作は必要になりますが基本的な手の動きはこれまで通りという配列を実現しています。
その他キーの設定について
基本のレイヤーを見て違和感を覚えた人もいるのではないでしょうか。
そう、「P」と「Q」がないということに。
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Pについてですが、僕はどうしてもbackspaceを入力するときにPの位置を叩いてしまうクセが抜けなかったので、backspaceについてはPの位置に割り当てています。
スペースを押すことでレイヤーを切り替えて入力をできるようにもしているのですが、Pを素早く2回タイピングすることで現れる設定も割り当て済みです。
これがTapDanceと呼ばれる機能で、特定のキーを素早く叩くことで特定の挙動を実現します。
「Mod-Tap」「Layer-Tap」「TapDance」などの組み合わせを駆使することで、1のキーに把握しきれないほどの役割をもたせられるということに。
まだマクロ機能など使いこなせていない機能もたくさんあるので、このあたりを駆使することで自分に最適化された最高のキーボードを作っていくことができるでしょう。
Qについてはほとんどつかわないキーなので、Escキーを標準で割り当ててPと同様にTapDanceとレイヤー機能でQの入力を割り当てしています。
注意すべきポイント
非常に味わい深いキーボードであるDRESSTHINGですが、注意すべき点もあると感じたポイントもあるので共有しておきます。
30%レイアウトをよく理解する
見ればわかることなのですが改めて30%レイアウトであるということには十分注意しましょう。
ミニマルでスタイリッシュで非常に洗練されたキーボードではありますが、やはり小さいというところで、自宅で使うのであれば大きいキーボードの方が楽に打てます。
あれこれ思考錯誤することが楽しいとはいえ、そもそも大きければ解決している問題もたくさんあるわけです。
楽に快適に使いたい人は75%の既製品を買った方が良いでしょう。
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しかし、このコンパクトさにしかない良さも確実にあるので、ある程度の不便を受け入れながらも楽しめる自信がある人が購入して使うべき製品ではないでしょうか。
製作費はそこそこかかる
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これはDRESSTHINGに限った話ではないですが、自作はやはりお金がかかります。
自作だから安く済むのではなく、自作だからこそ高くつくが正解です。
僕は今回キーキャップやキースイッチは手持ちのキーボードから取り外して使っているので別途購入はしていませんが、仮に購入していたらとして考えてみます。
- DRESSTHING:33000 円
- マイコン:4950円
- ロータリーエンコーダー:330円
- ノブ:100円
- リチウムコイン電池:479円
- HDMIケーブル:897円
- Lofree Flowスイッチ:3500円
- Lofree キーキャップ:9438円
- 合計:52694円
既製品とは一線を画すカスタマイズ性やミニマルでスタイリッシュなデザインなど、市場にはない良さというのも確かにありますが、現状5万円あれば最高級レベルのHHKB Studioさえ購入しておつりが来るレベル。
ロマンを買っていると思えばこのあたりに値段をつけるというのは野暮なことかもしれませんが、キーボードにそこまで思い入れがない人にとってはかなり敷居の高い価格であることは間違いないと思います。
これから改善していきたいところ
一応組み上げと設定はある程度できたのですが、まだまだ改善したところはたくさんあります。
というところで今後どんなところをアップデートしていきたいのかを共有しておきます。
傾斜をつけたい
ロープロファイルのスイッチを採用しているということもあり、なにもなくても打ちやすい薄さではあるのですが、若干傾斜は欲しいと感じています。
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テンティングのような大袈裟な傾斜までは現状必要とは感じてはおらず、本当に数mmちょっと奥側に傾斜をつけたいという気持ち。
ゴム足で高さを足すのか何か下にスタンドのようなものを設置するのかは要検討。
あったキーキャップを取り付けたい
現在キーキャップはLofreeを使っていますが、DRESSTHINGに対応していないキーが多数あるのをなんとかしたいです。
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現在だとエンターキーに使えるのがないので頭文字だけ同じのEndを使っていますし、下段のキーはテキトーもいいところ。
このあたりのキーは使用中のキーに合わせて視覚的にわかりやすいキーキャップにしていきたいと考えています。
キースイッチはいろいろ検討してみたい
現在はGHOSTと呼ばれる押下圧が50gの少し重めのスイッチを使っていますが、軽快に使うのであればLofree Flow Liteで採用されているSpecterでも良さそうだなと考えています。
今回はGHOSTにしましたが、今後押下圧が軽いものや重いもの、もしくはロープロファイルではないスイッチなども検討してみたいです。
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DRESSTHINGがおすすめな人
ミニマルでデザイン性の高いキーボードを使いたい人
自作キーボードに挑戦してみたい人
特徴は何といってもミニマルで洗練されたデザイン!
コンパクトにまとまっているのでiPad miniをこれまで以上に気軽かつオシャレに使用することができるでしょう。
自作キーボードでコンパクトなキーボードだとKeyball39などが有名ですが、全体的なデザイン性ではDRESSTHINGが上ではないでしょうか。
では、デザイン性のみなのかというとそれは違い、キーマップソフトを駆使することで既製品以上の操作性を設定することができます。
30%のレイアウトではありますが、普段使用している75%のレイアウトのキーボードと同じ操作を設定して変わらない機能性で使用できました。
また、これだけ多機能でデザイン性も高いとなると気になるのは自作の難易度になると思いますが、DRESSTHINGはほぼほぼ完成された状態で送られてくるので製作の難易度は決して高くない感じました。
自分でハンダづけをする部分は10箇所ないくらいで、すべての箇所において難しい操作が必要なわけではなく、ハンダづけを初めてする人だとしても十分に製作可能レベルです。
これまで自作キーボードに興味はありつつも、ハンダづけがハードルになっていた人にはうってつけのキーボードであると感じました。
まとめ
これまでずっと興味はあった自作の世界にようやく飛びこめて感無量です。
しかもそんな記念すべき1つ目が僕の発信の根幹にもあたるiPad mini用というところもより感動のポイント。
とりあえずコンテンツを製作したもののまだまだ改善の余地がたくさんあるので、これからアップデートを繰り返しながらさらに自分に合うキーボードに育てていきたいと思います!